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さとう・ゆうじ 1967年、後志管内ニセコ町生まれ。倶知安高から東京農大に進んだ。卒業後、倶知安農業高、更別農業高、岩見沢農業高、道教委指導主事、東藻琴高教頭、帯広農業高教頭を経て2018年4月、遠別農業高の校長に着任した。 |
【遠別】少子化や普通校志向などの影響で入学者数が減少、閉校の危機にあった遠別農業高。10年前から「ふるさと納税」の返礼品に生徒が育てたもち米や加工したラム肉が採用されるなど、さまざまな取り組みが効を奏し、入学者の減少に歯止めが掛かってきた。2018年に着任し、生産物をネットで販売する授業や、特産品の開発などに取り組む佐藤裕二校長に、その狙いや今後の展望を聞いた。(聞き手・天塩支局 福田講平) ――生徒の加工品や農産物は「ふるさと納税」の返礼品として好評です。 「生徒にとって自分の作っているものが採用されるのは誇り、自信になります。遠別農業高の名前を全国にPRする効果もあります」 ――遠別周辺だけでなく、札幌などの道内や全国からの入学者が多いですね。 「道外から来る生徒は非常に目的意識が高く、地元生徒のけん引役になっています。卒業後、遠別を第二の故郷のように思ってもらったり、ふるさと納税を通じて応援してもらったりしてくれるとありがたい。雇用機会があれば遠別に戻ってくる可能性もあります」 ――インターネット検索大手ヤフー(東京)と連携し、ネット店舗で販売する授業を始めたきっかけは。 「生徒にeコマースの知識や、ネットで仕事をすれば場所はどこでもいいということを知ってもらいたかった。授業は地域のマーケティングから始めます。生徒は地域でどんな農産物や海産物、名物のお菓子があるのかを調べ、実際に生産者の所に足を運びます。地域の理解を深めるのも授業の狙いの一つです」 ――昨年の修学旅行ではヤフーの本社で加工品などを販売しました。どんな狙いなのでしょうか。 「生徒から東京で販売したいという声がありました。それだけで東京に行くのは難しいですが、修学旅行に合わせて実現しました。授業を通しヤフーの社員と交流することで、生徒だけでなく先生の意識も変わってきました。学校は閉鎖的な空間になりがちですが、外部の人と接し多様な価値観を知ることは非常に大事だと思っています」 ――町特産のメロン農家の労働負担軽減が期待される品種のメロンを栽培、町特産のタコを使ったソーセージも開発しました。 「農業高校には地域の農業人の育成だけでなく、地域の農業をはじめとする産業を活性化する使命もあります。学校の経営方針は『生徒を大切にし、保護者や地域社会から信頼される学校を目指す』です。小さな試みですが、地域に少なからず役に立てばうれしいですね」 *取材後記 佐藤校長が力を入れているのが「情報発信」。ヤフーの担当者から「情報発信が遅い」と指摘を受け、イベントや取り組みを、昨夏から同高のホームページやフェイスブックで素早く発信するようにした。イベント当日に更新されることも多く、閲覧者やフォロワーが大幅に増加。佐藤校長は「あなたの『いいね』が学校を元気にします」と、閲覧やフォローを呼び掛けている。
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