北海道新聞旭川支社
Hokkaido shimbun press Asahikawa branch

日曜談話室

初瀬川晃さん(38)*東川スタイルマガジンの編集者*「町の本質知ってほしい」昨年末創刊*町民・移住者の必読本に (2020年2月9日掲載)
はつせがわ・あきら 
神奈川県小田原市出身。英国の大学を卒業後、帰国して英会話講師を務める。2005年、妻の地元の北海道へ移住し、札幌で海外の映像制作会社の現地コーディネートなどを手掛けるコンテンツ制作会社スノウバグズを設立。14年に東川へ移住した。

 【東川】東川の産業や町民の暮らしを紹介するムック本「東川スタイルマガジン」が昨年12月、創刊された。手掛けたのは町民と慶応大教授の4人。町内でコンテンツ制作会社を営み、執筆や編集など中心的な役割を担った初瀬川晃さん(38)に、スタイルマガジンへの思いや今後の展望を聞いた。(聞き手・旭川報道部 前田健太、写真・舘山国敏)

 ――創刊号は「つくり続けるもの」がテーマ。写真をふんだんに使いながら8組の町民9人を紹介しています。

 「読んだ方々からは、A4判116ページあるボリュームや凝ったレイアウトに対して『大変だったでしょ』『結構な力作で驚いた』と声を掛けてもらっています。出版を知った札幌の知人のほか、インターネット販売を通して東京や神奈川にも販売しています」

 ――出版に関わるきっかけは。

 「慶応大の玉村雅敏教授と小島敏明特任教授が、東川のまちづくりを紹介する『東川スタイル』を2016年に出版する際、役場を介してDTP(パソコンによる版下作成)の作業を任せてもらったのが始まりです。2人に『今度は町民や移住者向けに東川の本質を知ってもらう本を作ろう』と、声を掛けてもらいました」

 ――初瀬川さんも町民3人を取材しました。

 「これまで取材、執筆の経験はなく、難しさと責任を感じました。紹介する人物の考えや思いを文章で伝えるには、その人と心を通わせなければいけないのだと、身をもって体験できたのは良かったです。また同じ町民でも、一人一人にいろいろな背景やストーリーがあることを知って、新鮮さも覚えました」

 ――次回のテーマは。

 「時期は未定ですが、メンバーとは教育にしようと話し合っています。東川は、町立の幼稚園と保育所を統合した幼児センターを開設し、道内で先駆けて幼保一元化に取り組むなど教育に熱心な町です。少年団など課外活動も盛んで、教育現場で活躍している子どもや大人を幅広く取り上げたいと考えています」

 ――どのような本に育てていきたいですか。

 「今回は、慶応大の玉村さんと小島さん、東川のデザイナー村田一樹さんと私の4人を中心とした任意団体『東川出版』が出版しました。定期的な刊行のために、将来的に法人化したいと話し合っています。年1、2回のペースで定期刊行しながら、町民や移住者向けの『必読本』となるような、長く愛される本を目指します。今は主に町複合交流施設せんとぴゅあⅡで販売していますが、今後は販路拡大にも乗り出したいです」

*取材後記
 8年ほど前、仕事で東川を初めて訪れ、そびえ立つ大雪山系の景観を気に入り移住を即決したという。「自然豊かな町で子育てしたかった。子どもも気に入ってくれて良かった」とほほ笑む姿は良きパパそのもの。静かな語り口調の中に、スタイルマガジンや仕事を通じて東川の魅力を国内外に伝えたい熱い思いが伝わってきた。次号が今から楽しみだ。


戻る