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どうば・しょうこ 後志管内余市町出身。札幌幼児保育専門学校を卒業後、札幌などの保育園に勤務。2009年から未就学児向けキャンプ事業に携わり、絵本イベントなどを主催。15年、「素材あそび工房」を始める。夫の転勤に伴い、娘、息子と4人で17年から留萌市で暮らす。
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森で撮った植物や生き物の写真を使い、言葉やイラストを添えて「世界に一冊の絵本」を作る親子向けワークショップが10月に留萌市内で開かれた。企画したのは、市内外で工作教室「素材あそび工房『ちいさなはっぱ ちいさなき』」を開く道場祥子さん(41)。「子どもは本来、自ら学ぶ力を持っている」と話す道場さんに、活動への思いを聞いた。(聞き手・留萌支局 吉川幹弘)
――世界に一冊の絵本を作るワークショップとは面白そうですね。
「親子37人が参加してくれました。森の中で見ていいなと思った風景や葉っぱなどを撮影し、その中から選んだ7枚の写真に言葉などを書き加え、オリジナルの絵本に仕上げました。プロの写真絵本作家を講師に招き、『同じ場所で同じ物を見ても、見る人の感性で違う作品になる』と写真絵本づくりの面白さを語ってもらいました」
――工房の名称になっている「素材あそび」とは何ですか。
「紙や布、枝やビーズなど、素材そのものを使った工作です。『秋』とか『クリスマス』などとテーマは決めますが、何を作るかは自由。設計図が無いので失敗も無い。創造力が育つほか、親は子どもの個性を知ることもできます」
――普段の工作教室ではどのようなことをしていますか。
「初めにテーマに沿った絵本を読み聞かせます。工作の幅が広がるよう、20~30種類の素材を並べます。例えばクリスマスのオーナメント作りでは、紙を立方体に貼り付けたプレゼントを作ったり、布でツリーや靴下を作ったり。子どもたちの創造力に任せ、親はけがをしないように見守る程度です」
――このような活動を始めたきっかけは何ですか。
「札幌での保育士の経験が大きいです。園児の興味、関心に合わせ、大人からの声かけは最小限を意識するなど、自主性と創造性を大切にする園でした。コミュニケーション力を育てる絵本の読み聞かせも重要でした。子どもが自分で考え、行動する姿を通し、環境を整えてあげることが大人の役目だと感じました」
――今の子どもたちを見ていて感じることはありますか。
「子どもは『あそび』の中から自分の好きなものや得意、不得意なことを知ります。好奇心や自己肯定感など生きる力も学びます。最近はインターネットなどが発達し、刺激の強い受動的なあそびが増えている。それともうまく付き合いながら、主体的なあそびを取り入れることが大切です。素材あそびやプロとの出会いを通し、自分で考えて選択できる力を身に付けられるのではないでしょうか」
*取材後記
スマートフォンやテレビ、インターネットなど、世の中に情報があふれる今の時代。受け身の姿勢になりがちと感じる。「子どもは好奇心が強い。正解は無く、自ら考える遊びを通して判断力を身に付ける」といった考えには大きくうなずいた。同時に、大切な子どもを正しい方向に導きたいと考えるのも親心だと感じる。「子どもを信じる親の成長も必要ですね」。道場さんの言葉が印象に残った。
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