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まつもと・こうじ 兵庫県西宮市出身。慶応大学経済学部を卒業後、中日新聞社に入社。瀬戸支局、北陸本社(金沢市)、東海本社(浜松市)で勤務した。2018年10月に退職し、旭川市内のアパートに妻子4人と転居。ゲストハウスの開設に向けて準備してきた。
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旭川市北部、永山1の24の住宅街に9月、風変わりなゲストハウスがオープンした。オーナーは元中日新聞記者の松本浩司さん(35)。定員各2人の小さな宿泊棟が3棟に、カフェ兼用の平屋の共同棟が一つ、庭には盆踊りのやぐら風の手作り遊具がある。旅人と住民が交わる「公園」のような場所を目指しているという松本さんに、思いを聞いた。
(聞き手・旭川報道部 石田悦啓、写真・宮永春希)
――「旭川公園ゲストハウス」という名前が印象的です。
「記者としてさまざまな取材をするうちに、世代や立場、障害の有無を超えて、お互いの存在を感じられるようなコミュニティーの必要性を感じていました。『こんにちは』のあいさつから、知らない人同士が出会う交差点のような場所が公園です。それを自分で作りたいと思いました」
――ここはかつて本物の公園だったそうですね。
「土地の購入を決めた後に知ったのですが、公設ではなく、町内会手作りの公園だったそうです。住民が草を刈って、遊具を運んできて、夏は盆踊りをしていたと聞きました」
――どうして北海道を選んだのですか。
「大阪の高校3年生のとき、同級生32人を率いて道内への卒業旅行を企画しました。ユースホステルに泊まり、マネジャーと生き方や仕事について語り合った。当地の暮らしを知って、いろんな人と話し、遊ぶことこそ旅の魅力だと痛感しました。そして『いつか北海道に拠点をつくろう』という思いを抱くようになりました」
――ここよりもっと自然豊かな場所があるのでは。
「ここは永山の市街地に歩いて行けるし、当麻や比布にも近い、いわば農村と都市の境界線。私自身、北海道らしい大平原にいるよりも、人と接したいし、たまには飲みにも行きたい。土地を探し回り、マチと人と土の匂いがするこの場所に決めました」
――宿泊者と住民の交流は始まっていますか。
「今のところ、宿泊者は学生時代や記者時代に知り合った知人が中心ですが、ご近所の方も交えてお酒を飲みながら、その人たちから全国各地のまちづくりの話を聞くイベントを4回やりました。庭の遊具作りは近所の子どもたちも手伝いました。今では遊び場になっていて、冬はかまくらでも造ろうと思います」
――宿泊者はどうやって過ごすのですか。
「食事の提供は基本的に朝食のみです。夜は近くの肉屋さんからジンギスカンを買ってきて庭でバーベキューを楽しんでもらってもいいし、風呂に入りたければ銭湯、酒を飲みたければスナックも紹介します。暮らすように過ごしてもらえればと思います」
*取材後記 「地域で活躍する人や影響力のあるユニークな方々への取材を通じて、プレーヤーになりたいという思いが勝っていった」。記者をやめた理由の一つだそうだ。自然体で、言葉をしっかり選んで話す姿に「優秀な記者だったんだろうな」と感じた。旭川に移住して1年。フットワークの軽さで人の輪を広げ、松本さんの名前を聞く機会が増えてきた。旭川の魅力を熱心に語る姿に私も感化された。
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