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ながた・たく 1984年、ドイツ生まれ。米国の大学で環境学を学び、森ビル(東京)や札幌の旅行会社に勤務。エネルギーの自給自足にひかれ、2013年に下川町に移住。しもかわ観光協会の事務局長を経て、道銀地域総合研究所(札幌)からの出向で、16年4月からTP推進部の統括部長を務めてきた。
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【下川】下川町の移住促進を担う「町産業活性化支援機構タウンプロモーション(TP)推進部」の長田拓統括部長(34)が3月末で3年間の任期を終え、町を離れる。3年間でTP推進部が仲介した移住者は40人を超える。移住の“仕掛け人”に、これまでの取り組み、人口3300人の「森のマチ」の持つ魅力や可能性について聞いた。(聞き手・名寄支局 鈴木宇星、写真も) ――2016年4月、町や町商工会などでつくる町産業活性化支援機構が「TP推進部」を発足させてから、下川町への移住者が大幅に増えました。 「TP推進部が仲介した下川への移住者は1年目が3人。2年目が11人。本年度は既に27人(3月10日現在)で、3月末までには2世帯7人が新たに引っ越してくる予定です」 ――移住者が増えた要因は。 「移住を検討する人の要望に対応してきたことです。1年目は下川の魅力を紹介するインターネットのサイト『タノシモ』、仕事を紹介するサイト『下川人財バンク』などを整備。2年目は新たに広報担当者を迎え、情報の発信力を強化しました。3年目は無料通信アプリ『LINE』を活用した移住相談も始め、相談件数が1年目は70件、2年目は350件、3年目は500件にまで増えました」 ――「タノシモ」は内容が充実していますね。 「下川町がまちづくりの柱に掲げる、国連の『持続可能な開発目標(SDGs(エスディージーズ))』の紹介や母親向けの特集ページを新たに開設しました。移住者へのインタビューも更新。町内で開かれた催しや移住に関するイベントなど、町の動きが見えるように情報を発信しました。その結果、本年度、タノシモを見た延べ人数が1万5千人を超えました」 ――下川の魅力、そして可能性は何でしょうか。 「先人たちが築いてきた土台の上で新しいことを仕掛けてきたチャレンジ精神と行動力、さらにこれらを受け入れてきた町民の寛容性が下川の魅力。国がモデル地域を指定する『SDGs未来都市』などで将来を見据えたまちづくりに挑戦をしているからこそ、他の自治体と違いが生まれ、移住者もこの町に未来を感じて移り住んだのです。町の将来を真剣に考える町民と、下川に思いを持って移り住んだ人たちが一緒になって、まちづくりを進めることが大切だと感じました」 ――今後は。 「4月から神奈川県鎌倉市の民間会社で働きます。地域食堂や保育園を開設するなど、まちづくりに取り組む会社です。今後、多くの自治体で人口減少に伴い財政は厳しくなります。財政状況を考え、民間の力を活用したまちづくりを進める力が必要になります。新しい職場では経営感覚を身につけることが目標です。下川で学んだことを基礎に、他の地域のまちづくりにも応用していきたいです」
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