北海道新聞旭川支社
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日曜談話室

寺山藍さん(24)*「るもい地域若者会」を主催*地方生活楽しむ異業種交流会*あふれる魅力 みんなで発掘  2019/03/10
てらやま・あい
登別市出身。北星学園大(札幌)3年の冬、留萌の地域FM放送局でインターンシップ(就業体験)をして、地域に根ざした情報発信に興味を持った。2017年、留萌市内の観光まちづくり会社に就職。住民へのインタビューを基にした冊子を作るなどし、留萌管内のPRに携わっている。

 大学や専門学校もない留萌で、異業種の若者が出会い、交流する会合が始まった。「るもい地域若者会」。地域に根付く1次産業の従事者から転勤族まで、さまざまな若者が集い、地域への思いを語り合うなどしている。主催しているのは留萌生活2年目の会社員寺山藍さん(24)。会の目的や、若者が地方の生活を楽しむにはどうすればいいかを尋ねた。(聞き手・工藤俊悟、写真も)

 ――ただの飲み会とは違うのですか。

 「居酒屋を中心に十数人程度で開催することが多いですが、無法地帯にはしたくないと思い、明確な目的を掲げています。《1》地域を楽しむ刺激を求める《2》地域を楽しむ若者の輪を広げる―ことです。『留萌でどう休日を過ごしてる?』のようにテーマを決めて意見を交わしたり、年長者に留萌地域への熱い思いを語ってもらったりしています」

 ――なぜ会を開こうと思ったのですか。

 「留萌に来て2年目ですが、『留萌って何もないから、つまらない』という言葉をよく耳にしました。確かに、映画館など簡単に楽しみを享受できる施設が少ないのは事実です。けど、仕事などを通して知った、私の知る留萌は魅力あふれる場所。『留萌地域=何もない=つまらない』の方程式は壊したいと思いました。週末になればすぐに札幌や旭川に行ったり、家の中でスマホをいじったりするのではなく、若い人が地域の楽しさをみんなで発掘していく。こういう場を作りたいと思い、始めました」

 ――手応えと、今後の方向性を教えてください。

 「2018年6月から今年2月までに7回開き、参加者から『つながれて良かった』など喜びの声も上がりました。これまでは語り合うことが中心でしたが、今後は地場産品を味わったり、留萌の厳しい冬を味わえる雪中泊をしたり、羽幌の炭鉱を巡るツアーに参加したりと、体験系の会も開きたいです。まだ手探りの活動ですが、会を重ねて地域の魅力に触れることで、留萌をつまらないと思っていた人が、何かをやりたいと思って実現させてほしい。それが最終目標です」

 ――留萌地域が本当にお好きなんですね。

 「留萌が好きで、札幌が嫌いとかそういうわけではありません。厳しい冬の留萌は今でも住みづらいまちだと思います。でも、私が最も伝えたいことは、住んでいる場所が良い場所になるかは自分次第だということです。何もないなら自分たちで何か見つければいい。つまらないと思うなら面白いことをつくればいい。今生きている場所を目いっぱい楽しむ。若い皆さん、スマホを置いて、まだ見ぬ魅力を見つけに行きませんか。留萌地域で一緒に若者ライフを楽しみましょう」

*取材後記
20代の記者も「るもい地域若者会」にほぼ全回、参加した。たくさんの人の話を聞いたが、最も印象に残っているのは寺山さんの自己紹介での言葉。「『留萌は何もないから、つまらない』。私はこの言葉に憤りすら覚えます」。普段は「憤り」との感情に無縁と思えるほど親しみやすい彼女の率直な言葉。だからこそ、胸に響いた。会に年齢制限はない。


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