北海道新聞旭川支社
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日曜談話室

ジェシー・チャオさん(36)*クラブメッド北海道トマム総支配人*リゾート施設 海外客に人気*四季の自然 多彩な体験魅力  2018/12/23
ジェシー・チャオ
1982年生まれ。台湾・台北の国立政治大を卒業後、2007年にクラブメッドグループ入社。タイやモーリシャスなど15カ国で勤務。17年6月から今年4月まで十勝管内新得町のクラブメッド北海道サホロの総支配人を務めた。

【占冠】8日に開業から1年を迎えた占冠村のクラブメッド北海道トマム。クラブメッドグループ(本部・パリ)がサホロ(十勝管内新得町)に続き道内2カ所目のリゾート施設として開設し、スキーや登山など体験型観光を売りにして海外客の人気を集めている。10月から総支配人を務める台湾出身のジェシー・チャオさん(36)にリゾートの運営状況やトマムの魅力について聞いた。(聞き手・富良野支局 伊勢裕太)

 ――開業から1年を迎えました。

 「通年の客室稼働率は90%以上。1年目では想像以上の結果でした。フランスやオーストラリアなどから長期滞在する海外客が中心で、トマムならではの体験型観光が集客につながっています。敷地内に星野リゾートトマムが運営するスキー場や温水プール、雲海テラスなどがあり、相乗効果は大きかったと思います」

 ――トマムならではの体験型観光とは。

 「スキーや登山、サイクリングなど手つかずの自然の中で体験できる多彩なプログラムを楽しめます。トマムで初めて真っ白な雪を見て感動するお客さまも多いです。特に子ども向けのスキー教室は人気が高く、家族一緒にゆっくりバカンスを楽しめる環境が魅力的なようです。スキーシーズンは海外客が8割以上を占めているんですよ」

 ――日本人客の誘致はどう考えますか。

 「日本人客を主な客層とする星野リゾートと競合するつもりはないですが、私たちにはトマムに観光客を呼ぶ共通の目標があります。日本人客は外国人客と比べ、情報の収集や発信に敏感であると感じます。(写真共有アプリの)インスタグラムなどのSNSやブログを活用し、体験者の生の声や細かな情報を届け、PRの強化を図りたいです」

 ――9月には胆振東部地震が起きましたね。

 「私は採用業務で台湾にいたのですが、地震発生時は星野リゾートと情報を共有して宿泊客の対応や食料確保などに当たったと聞いています。クラブメッドはリゾート運営だけでなく、ツアーを企画する旅行会社でもあるので、フランスの航空会社と連携し、帰国を希望する宿泊客に対応しました。その後は大きな混乱や風評被害もなく、業務を行うことができました」

 ――地元の占冠村との連携については。

 「占冠村はパウダースノーやトマム盆地を覆う雲海など素晴らしい観光資源を持つ地域の大切なパートナーです。互いに協力関係を築き、村民や宿泊客向けに音楽イベントの開催などを企画できればと考えています。トマムに来る世界中のお客さまに地域とのつながりを感じてほしいですね」

 *取材後記
「日本の四季を表現した客室や世界各国の料理はもちろん、スキー体験などでも外国人従業員との会話を通じて多文化交流を楽しめます」。取材前にリゾート内を歩くと、チャオさんの言葉通り、さまざまな国の従業員が笑顔で迎えてくれた。繁忙期には27カ国・地域、約350人を雇用するという。総支配人として、数多くの職場で培った国際感覚を生かし、トマムの魅力を世界に発信する人材の育成に努めてほしい。


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