北海道新聞旭川支社
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ヒューマン

高瀬善朗さん(70)*描かれた女たち展旭川市民実行委員長*女性像の変遷見て*美術館の存在高めたい  2018/09/23
たかせ・よしあき
東神楽町生まれ。小学校から高校まで旭川で暮らす。慶応大を卒業後、東京での勤めを経て33歳で帰郷し、旭川市役所入り。市総務部長などを歴任し2006年、市助役に(その後副市長)。12年に退職した。現在、旭川振興公社社長、旭川市体育協会会長、旭川卓球協会会長などを務める。

 道立旭川美術館(旭川市常磐公園)で開催中の「描かれた女たち」展(11月7日まで)は、大正期から現代までの絵画76点が、女性像の変遷を余すところなく伝える。主催者の一つ、同展旭川市民実行委員会の高瀬善朗委員長(70)に、見どころや実行委形式で開催する意義を聞いた。(聞き手・旭川報道部 佐藤洋樹、写真・打田達也)

 ――魅力いっぱいです。

 「近代絵画の巨匠から現代画家までの名品がそろっているばかりではありません。展示された作品は、女性モデルへの画家の関わり方や時代背景、画家の人生と画壇での立ち位置など、もろもろを映しています。絵を前にして『この画家は何を描きたいのかな』と考えながら鑑賞するだけで面白い」

 ――個人的なお薦めは。

 「何と言っても森本草介の『微睡の時』。裸婦像なのに、不思議とエロチシズムを感じさせない。女性の美しさ。きれいだとしか言いようがありません。鴨居玲の『裸婦』は輪郭がぼんやりとして顔も見えない。なぜこんな身を縮めたポーズをさせて描いたのか。作者の心象風景でしょうか」

 ――実行委形式の美術展が長く続くのは珍しいと聞きます。

 「今年で40回目。美術館ができる前の1975年、市内のデパートを会場に始まり、82年からは完成した美術館で開いています。文化の振興に熱い思いを抱く人々がたくさんいることの証拠でしょう。まちの力とも言えますし、先人たちがつないでくれたからこそ継続できている。赤字になっては長続きしません。今回も170人を超える実行委員が、展覧会の魅力を伝えながらチケット販売に走り回りました」

 ――関連行事が多彩です。

 「実行委員が持ち味を生かし、期間中にはお茶会やトークショーなど数々のイベントを組みました。私も大学時代、マンドリンクラブに所属していたものですからコンサートを開きます。会場を飾る竹久夢二の『待てど暮らせど来ぬ人を』にちなみ、夢二作詞の『宵待草』も演奏しようと必死で練習している最中。指に固いタコができました」

 ――市民が支える展覧会に委員長として携わり、どう感じていますか。

 「絵は門外漢なのに、この春に委員長になってから美術かぶれになり、NHKEテレの『日曜美術館』も見るようになりました。文化活動はホモ・サピエンスだけがなすもの。人としても、まちにとっても、素晴らしい活動の場になっている道立美術館の認知度を上げることにつながればという思いです。どうかチケットを眠らせないで足を運んでいただきたい。そのことが、作品の価値ばかりでなく美術館の存在意義を高めるのですから」 

イベント等の問い合わせは道立旭川美術館(電)0166・25・2577へ。


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