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にしのめ・のぶお 1949年稚内に生まれ、53年に旭川へ。聖学院高校(東京)卒。日本大学商学部を中退後、72年に層雲峡でホテル大雪を経営する西野目産業(旭川)に入社。98年から同社4代目社長に就き、2017年から会長。旭川の北都中時代は山岳部の部長を務めた。
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層雲峡観光底上げの起死回生策として3月下旬に設立総会を開いた株式会社「大雪山ツアーズ」が、国が認定する観光地域づくり推進法人(DMO)の候補法人として登録された。社長としてかじを取る層雲峡観光協会会長の西野目信雄さん(68)に意気込みを聞いた。(聞き手・旭川報道部 佐藤洋樹、写真・大島拓人) ――設立総会で「最後のご奉公」とおっしゃったとか。 「足かけ47年層雲峡で観光業に携わり、道北の観光振興に努力してきましたが、年齢も70歳近くになった。最後に力を傾注する場だとの気持ちでそう言いました。地元上川町の佐藤芳治町長は観光への思いが熱く、入湯税の値上げ分をDMOの運転資金に充てる道筋を付けるなど、力強くバックアップしてくれている。DMOは基本的に、観光発展のために地域が連携しろというもの。町と観光協会、旅館組合に加え、農協や商工会にも出資をいただいた。候補法人に登録され、国の支援を受ける基盤が整いました」 ――層雲峡観光の課題は何ですか。 「層雲峡は100年を超える歴史のある温泉場。高度経済成長の波に乗り、昭和30年代後半から道内観光の拠点として、団体客に対応する大型旅館中心にやってきました。しかし、その後は客層がファミリー化・個人化する流れが顕著になり、一方で外国客が増えてきた。流れは分かっていたが、対応が遅れたというのが現状です。2017年度の宿泊客数58万5千人のうち外国客は3分の1を超えます。対策を急がなければなりません」 ――大雪山ツアーズの目指すものは。 「日本の財産とも言える大雪山系の魅力を伝えるために、観光の質・サービスの質・食事の質の『三つの質』を高めることです。観光の質とは、アクティビティー(遊び)や2次交通の充実。サービスとは『おもてなし』のこと。食事はオホーツク海も日本海も近い地の利を生かし、地元の素材を提供したい」 ――観光地としての魅力も増えていますね。 「上川町内には三国清三シェフのレストランがあり、酒蔵『緑丘蔵』もできた。町と連携協定を結んだアウトドア用品製造販売のスノーピークには、豪華なキャンプを楽しむグランピング施設を造る構想もあります。現代の旅行形態は、航空便と宿だけを自由にネットで選ぶダイナミックパッケージが主力。旅先で何ができるかという旅行商品は地域で開発し、提案しなければなりません。その担い手が大雪山ツアーズです。大雪森のガーデンの指定管理の受託契約も結びます」 ――人手不足が深刻です。 「労働生産性を上げるのはもちろんですが、働き手の絶対数が足りません。外国人技能実習制度による実習期間は、ホテル・旅館業では1年しかない。日本旅館協会の北海道支部連合会会長として、これを最低3年間は就労できるように、業界のマンパワーで国に働きかけてゆきます」
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