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ありむら・ゆきもり 1949年、宮崎県小林市生まれ。高校卒業後、東京のコンピューター関連会社に就職し、72年に転勤で旭川へ。演劇鑑賞団体「旭川市民劇場」の活動に携わるようになり、81年には会社を辞めて事務局長に。2013年まで務めた。14年からまちなかぶんか推進協の事務局長。ぶんか小屋(電)0166・23・2801
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旭川の平和通買物公園と七条緑道が交差するところに、文化の交流拠点「まちなかぶんか小屋」が誕生して今年で5周年になる。運営組織の事務局長が有村幸盛さん(68)。旭川市が2021年度完成を目指す、新しい市庁舎について考える市民団体の事務局長も務める有村さんに、まちづくりはどうあるべきか聞いた。(聞き手・旭川報道部 佐藤洋樹、写真・大島拓人) ――ぶんか小屋が5周年を迎えます。 「2013年8月に市が開設し、事業終了に伴い一度閉鎖されましたが、市民主体の協議会をつくって14年5月、再スタートしました。ぶんか小屋で催されるイベントに訪れた入場者は、13年度は千人強でしたが年々増え、17年度は7千人を超したでしょう」 ――いつも人が集い、にぎやかです。 「ぶんか小屋の自主事業として、音楽ライブや落語会、芝居、朗読会、語学教室などを企画してきました。貸し館事業ではコンサートや写真展などが催され、周辺の三和・緑道商店会の主催で『歴史を学び、未来を考える』と銘打った市民講座も開かれるようになりました。地域の高齢者の居場所になればと、お年寄り向けのサロンも続いています。ぶんか小屋は50平方メートルほどしかなく、50人も入ればびっちりになるけれど、文化を仲立ちに、人が出会うために集まり、つながりが広がってゆく空間です」 ――市が「まちづくりの中心」と位置づける新市庁舎計画についても発言を続けていますね。 「『市庁舎と旭川の未来を考える市民連絡会』の事務局長をやっています。新市庁舎建設は、旭川のまちづくりに深く関わる、いわば『100年に一度の大事業』。市役所と業者が固めた案を市民に下ろすという形ではなく、時間がかかっても設計段階で市民の意見を聞く場をどんどん設けてほしい。市民の関わりが薄いと、完成しても市民に縁遠い存在になってしまうのではと心配です」 ――といいますと? 「市がまとめた基本設計の案は『市民でにぎわい、親しまれるシビックセンター』を目指すとうたい、1階に市民活動や交流スペースを置いています。でも、それで市民が集うでしょうか。例えば、市民活動と接点の多い部署の執務スペースと市民交流スペースを同じフロアに置けば、市職員と日常的にまちづくりを語らうために自然と市民が集まるのでは。予算やセキュリティー上の制約もあるでしょうから、市民の言う通りの設計にならなくてもいい。過程に市民が携わることが、旭川の未来づくりにつながると思うのです」 ――ぶんか小屋の今後をどう描きますか。 「詩と演劇、音楽とファッション、映画と建築といったように、違うジャンルがクロスオーバーする表現方法を、ここで試してみたい。農業・食の分野の先駆者や、歴史の語り部に学ぶ場をつくりたい。そして利用者の皆さんに、ぶんか小屋の使い方の幅を広げてほしい…。言いだすときりがありませんね」
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