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きわき・ゆきこ 1976年、旭川市生まれ。「大人たちの言うことは信じられない」と高校時代に2カ月、家出をした経験も。飲食業やエステサロン勤務を経て独立し、マッサージサロンを経営。2013年、中富良野町に「ピースガーデンパン酵房+カフェ」を開業し、観光客の人気を集めている。
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中富良野町の市街地に残る空き店舗を活用し、コミュニティーカフェを開く計画が動いている。構想を描いたのは、同町内の農村部にカフェ併設のパン店を経営する一般社団法人「ピースガーデン」代表理事の木脇由希子さん(42)。今夏の開業を目指し、春からの本格的な改装工事に向け、片付けに奮闘する。これまでのいきさつや活動の原動力を聞いた。(聞き手・富良野支局 岩崎あんり、写真も) ――コミュニティーカフェの計画はどのように生まれたのですか。 「まちなかに気軽に立ち寄れる場所が少ないなという疑問からでした。昨秋、知り合いの町職員にそんな思いを話した時にちょうど、過去に商店を開いていた方から『店舗を手放し、住まいも公営住宅に移りたい』との相談が寄せられた。お金のかかる建物の解体は高齢者にとって大きな負担です。10年近く眠っていた店をそのまま譲り受け、町民同士が交流できる場所になると感じ、動き始めました」 ――開業5周年のパン店も、女性3人で古民家を再生させましたね。 「柱と屋根以外全てを解体し、床や壁、天井張りなど自分たちの手で改装しました。今回の片付けも店内に冷蔵庫や棚、仕出し料理に使った食器などがあり、時間を要しましたが、作業の段取りも慣れたもの。『大工になれるね』と仲間と笑い合っています」 ――中富良野には、どのような思いがありますか。 「中富良野には11年に移住しました。泥炭地の歴史を背景に、水分の多い土地であるためか、とても居心地が良い。移住したての頃、店で食事会を開くなどして地域の方と交流させてもらい、そのたびに良くしてもらった。カフェ計画を地域への恩返しにもしたい」 ――店舗改装など常にエネルギッシュです。何が活動を支えていますか。 「20代の頃は東京や横浜でバーテンダーやスープの移動販売など、やりたいことだけをやり尽くしました。その結果、気持ちの糸がぷつんと切れてしまった。そうした経験から今は、自分の意思など関係なく、与えられた環境でできることをしたいと思うようになりました。社会的意義があるかどうかも、大切にしています」 ――今、他に温めているアイデアは。 「地域の農家さんに、農閑期にすてきな小物を作っている女性がいます。趣味とのことですが、カフェで販売して広く知ってもらいたい。売り上げの一部をコーヒーチケットにして、店でくつろいでもらうのも良いなと思います。いつか、地域通貨のようなものを作り、町内の他店舗とつながりたい。今の時代には、地域でつながり合うことが、とても大切だと思います」
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