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はやみ・おさむ 1944年札幌市生まれ。東京教育大学体育学部(現筑波大学)卒業。道教育大旭川校で助教授を経て教授に。専門は生涯スポーツ。現在は道教育大名誉教授、旭川障害者スポーツ協会会長、旭川シュプールクラブ参与などを務める。
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身体の不自由な児童が座ったまま乗れる「バイスキー」でスキー授業を受ける取り組みが旭川市内の小学校で2年目を迎えた。指導するのは旭川のスキー愛好家でつくる旭川シュプールクラブ。同クラブ参与の速水修さん(73)に、バイスキー授業の普及に取り組む思いや活動について聞いた。(聞き手・旭川報道部 吉川幹弘、写真・打田達也) ――バイスキーとはどういったものですか。 「身体に障害がある人が座って乗れるスキーです。いすの下に2枚のスキー板を付けた形で、乗る人はいすに座り、体をベルトで固定します。斜面で左右に体重移動することで曲がることができます。基本的には指導員とバイスキーをロープでつなぎ、背にある持ち手を使って指導員が操作しますが、ストック代わりの『アウトリガー』を使えば、自分で操作することもできます。いすと板の間に空間があるのでリフトにも乗れます」 ――バイスキー授業の普及に取り組むきっかけは。 「もともと障害者スポーツに関心を持ったのは、15年前に亡くなった父親、速水潔(旭川山岳会元会長)の影響です。父は戦争で左腕を失いましたが、趣味の登山で培った技術をもとに障害者にスキーを指導していました。障害を感じさせず、自身のやるべきことに真剣に取り組む姿を覚えています。一昨年、障害のある小学生がスキー授業に参加できないという相談を受け、バイスキーの導入を思いつきました。市内の障害者団体から道具を借り、昨年1月に初めて授業を行いました」 ――授業にバイスキーを取り入れる学校が5校から7校に増えました。 「昨冬の授業が保護者の間で話題になったそうです。シュプールクラブの中に『ハンディキャップスキー支援部』を設置し、今冬は体制を強化しました。指導員は6人。ゲレンデで授業をしていると、興味を持った他校の先生から声をかけられることがありました。それをきっかけに授業を始めた学校もあります。保護者は『スキーができるとは思っていなかった。子どもが喜び、うれしい』と言ってくれました」 ――指導員として心がけていることは。 「バランスの維持が難しく体力を使うので、普段は30キロの砂袋を載せて練習しています。また、障害の程度には個人差があるので、腕が使えるか、体重移動はできるかなど、できるだけ児童の身体機能を生かせる指導をしています。やっぱり、介助されるより自分で操作する感覚を楽しんでもらいたいですから」 ――今後の目標は。 「札幌で毎年開かれる『北海道ハンディキャップスキー大会』にみんなで出場したいですね。いろんな人と出会い、楽しく運動して時間を共有することで、自分の世界を広げることができると思います。障害があると雪の多い旭川は大変。でも楽しみがあれば、冬も待ち遠しくなるはずです」
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