北海道新聞旭川支社
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ヒューマン

石川慶太さん(36)*旭川ケーブルテレビ制作課主任*特殊詐欺啓発ドラマを制作*富良野塾の経験生かす  2018/01/28
いしかわ・けいた
1981年、夕張市生まれ。夕張高卒業後の2002年、富良野塾に入る。同塾卒業後は富良野市内で働きながら、OBらでつくる演劇集団「富良野グループ」の俳優・プロデューサーとして道内外の公演で活躍。同グループ解散に伴って17年4月、ポテトの番組リポーターを務めていた縁で同社に転職した。

 脚本家の倉本聰さんが主宰し、役者と脚本家の養成を目指した私塾「富良野塾」出身の石川慶太さん(36)は昨春、旭川ケーブルテレビ(愛称・ポテト)を新たな舞台に選んだ。同局が昨秋に制作した、特殊詐欺の手口を伝える啓発ドラマ「私はぜったい大丈夫」で脚本、演出、俳優を担当。普段の番組では旭川近郊をカメラ片手に走り回る。ドラマ制作の背景などを語ってもらった。(聞き手・旭川報道部 山村晋、写真・大島拓人)

 ――啓発ドラマでは高齢者をだます犯人役で、人相もかなり悪いですね。

 「見る人を導入部から引き込むため、憎まれ役を演じきりました。『詐欺を防ぐ新しい試みを』と旭川東署に提案し、オレオレ詐欺の手口を教えてもらって脚本を練りました。舞台は旭川で、同僚や警察官ら8人が出演した10分間のドラマです。特殊詐欺は身近な犯罪です。『私はぜったい大丈夫』と言う人に見てもらいたい。現在は動画投稿サイト『ユーチューブ』で視聴できます。特殊詐欺の手口を知れば撃退できると思います」

 ――啓発ドラマが全国放送されました。

 「ケーブルテレビ局が自前で特殊詐欺の啓発ドラマをつくったケースはないそうです。ハイビジョンより高精細な4K映像で撮ったドラマは26日まで1週間、全国に流れました。作品は自分の子供のようなものですから、評価されてうれしいですね。次は特殊詐欺の他の手口やいじめ問題、薬物依存など市民生活に関わるドラマを制作しようと考えています」

 ――滑舌がよく、明るく前向きな印象を受けます。

 「演劇経験が生きているのでしょう。元々は根暗で引きこもりがちな性格で、人とのコミュニケーションも苦手でした。今では出社するとスイッチが入り、会社が舞台になるのです。気さくな会話や冗談をよく言って周りの人を楽しませる太陽のようなイメージを思い描いています」

 ――俳優を目指したきっかけは。

 「北炭夕張新鉱でガス突出事故があった1981年に生まれました。夕張では壊されていく長屋、増えていくシャッター街を見ながら育ち、憧れだった札幌に出ました。専門学校に通っていた19歳の冬、夕張で富良野塾の舞台『今日、悲別で』を見て心を動かされ、衝撃を受けました。翌年、富良野塾に入りました。塾生40人の共同生活。昼は農場などで働き、夜はダンスや声楽など稽古を積む日々、寝る時間を削って打ち込みました」

 ――昨春、演劇漬けの生活に一区切りつけました。

 「演劇集団『富良野グループ』が解散する時、ポテトの尾崎吉一社長に誘われました。違う舞台で何かを表現したかったので良かったです。カメラ取材も映像編集も初めてで失敗もしたけれど、優しい同僚が助けてくれました。夕張、富良野に続く第3の故郷旭川を盛り上げるため、いろんな舞台で活躍する市民にスポットライトを当てていきたいと思います」


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