北海道新聞旭川支社
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ヒューマン

岸谷義人さん(49)*旭川理容美容専門学校理事長*理美容の人材育成*魅力発信し学生集める  2017/12/10
きしや・よしひと
1968年、秋田県男鹿市生まれ。旭川農業高を経て旭川理容美容専門学校卒業。94年に美容室アートヘアーライズ(旭川市)を開店。2008年から同学校理事、今年5月31日から現職。北海道美容講師会会長と北海道美容業生活衛生同業組合副理事長も務める。

 道北唯一の理美容学校・旭川理容美容専門学校の理事長に、旭川市内で美容室を経営する岸谷義人さん(49)が5月末に就任して半年がたった。少子化などの影響で学生減少の危機に直面する同校は、打開策として他校と連携を図るなどさまざまな生き残り策を打ち出している。学校を盛り上げる意気込みや目指す学校像について聞いた。(聞き手・旭川報道部 尾崎良、写真・大島拓人)

 ――40代の若手7代目理事長として何に取り組みますか。

 「まず学生数を増やし、学校を建て直すことです。学生は1970年代には定員いっぱいの300人いましたが、今年(定員240人)は84人。理美容の魅力と学校の良さをどう伝えるかを考えています」

 ――どうして減ったのでしょうか。

 「一時期の“カリスマ美容師”ブームのころは、定員以上のあふれるほどの学生がいました。そのブームが去ると、今は理美容職の現場は休めない、夜遅いなどマイナスのイメージが残りました。また、生徒が都会志向となり東京や札幌などへ行ってしまう。都市に行った方が高い技術を学べると思いがちですが、そうではありません。旭川でも十分に学べるし、たくさんの客が集まる店も実際にあります」

 ――学生を集める取り組みを進めていますね。

 「19年度から広域通信制の星槎国際高(芦別)と連携し、高校卒業と理容師、美容師の三つの資格を3年間で取得できるコースを新設します。中卒者を取り込んで学生の確保を目指します。AO入試にも取り組みます。一方、私の友人でドローン(小型無人機)操縦のプロ請川博一さん(56)らに学校のプロモーションビデオを作製してもらっています。来年完成予定で、1人でも多くの生徒に魅力を知ってほしい。さらに卒業生や地域の理美容店との連携を強くしようと、来年2月には同窓会・後援会を発足させる予定です」

 ――理美容は職人仕事と言われます。

 「お客に『この前の髪形、良かったわ。また同じようにして』などと感謝されると本当にうれしい。理美容は単なる売り買いだけではなく、客の思いとキャッチボールできる仕事です。ロボットには絶対できません。そして私たちはお客に育てられています。私は仕事が楽しいと思えるまで5年はかかりました。その間は自分との闘いです」

 ――学校ではどんな教育を目指しますか。

 「毎日のあいさつをすることや、遅刻をしないなど生活習慣のしっかりした人になってほしいと思います。その上で仕事では人の気持ちをくみ取り、寄り添うことが必要。そのために誰よりも気が付く、気が配れる人になってほしいです」


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