北海道新聞旭川支社
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ヒューマン

林良和さん(51)*大雪カムイミンタラDMO専務理事*スノーリゾートで集客増*上川中部で「滞在型」推進  2017/11/12
 はやし・よしかず
1966年、旭川市生まれ。旭川東高を卒業後、88年に旭川市役所入り。市民生活部次長をへて、今年4月に市経済観光部に新設された観光・イベント担当部長に就任した。10月17日の大雪カムイミンタラDMOの設立に伴い、専務理事に就いた。

 観光庁が設立を促進するDMO(観光地域づくり推進法人)。10月には旭川市と上川中部の6町などが一般社団法人「大雪カムイミンタラDMO」(理事長・西川将人旭川市長)を設立した。市経済観光部観光・イベント担当部長で、同DMOの専務理事を務める林良和さん(51)に、設立の狙いや事業の展望を聞いた。(聞き手・久保田昌子、写真・舘山国敏)

 ――そもそもDMOとは何ですか。

 「観光地経営の視点に立って、戦略的に観光地域づくりに取り組む法人のことです。観光庁が欧州の事例を参考に2015年度に創設し、20年にも約100法人を認定します。道内は大雪DMOを含む9団体が候補法人に登録済みで、正式に認定されれば、国から財政的支援が受けられるほか知名度アップの効果が期待できます。認定要件は年度内に示される見通しです」

 ――スノーリゾートによる集客を目指していますね。

 「山々が連なる上川中部は九つのスキー場が集まり、冬の観光資源に恵まれた場所。雪は質量共に最高水準で、旭川の繁華街や旭山動物園も近く、滞在型観光を進めるにはもってこいの環境です。観光庁はスノーリゾートでの観光客誘致強化に向け、本年度に2カ所をモデル事業に指定する予定で、大雪DMOも指定を目指します。夏に比べて落ち込む冬の観光需要を掘り起こす狙いもあります」

 ――課題は何でしょう。

 「一つは地域のブランド力を高めること。スキーをはじめ、登山やサイクリングなど年間を通して楽しめる観光地にすることで、他地域との差別化を図ります。もう一つは自立して収入を確保できる組織をつくること。来年度から、旭川市管理のスキー場カムイスキーリンクスの指定管理を受託することを目指し、これによって自主財源を確保します。リンクスを核に各スキー場と連携し、集客増を図ります」

 ――具体的な連携策は。

 「昨年度の上川中部の観光客宿泊延べ数は約176万泊で4分の1が外国人でした。外国人観光客を呼び込むには、ガイドやインストラクターの人材育成が急務です。将来的にはDMOが育成拠点となり、圏域のスキー場や施設に人材を派遣する必要があるでしょう。スキー場の共通リフト券の販売や循環バスの運行なども考えています」

 ――これまでの行政経験をどう生かしますか。

 「毎年恒例となった食べマルシェの立ち上げにかかわった経験から、新しい事業を始めるには既存の枠にとらわれず取り組むことが大切です。DMOの目的は観光客に心から楽しんでもらえる観光地づくりです。シンプルだけど難しい課題に、私自身楽しみながら全力で取り組むつもりです」


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