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はせがわ・まさひろ 1965年、札幌生まれ。北海学園大を卒業後、会社勤めを経て環境コンサルタントに転身。2001年に「オフィス・マルマ」(札幌)を設立、代表となる。魚や鳥など野生生物をテーマにした写真家、文筆家でもある。札幌市内で妻と2人暮らし。
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羽幌町は、環境に配慮した取り組みを進める事業者を支援する「シーバードフレンドリー認証制度」の来年度創設を目指している。準備を進めるワーキングチーム「はぼろ域活(いきいき)海鳥の会」で参加団体の調整役を務める札幌市の環境コンサルタント長谷川雅広さん(52)に認証の意義と展望を聞いた。(聞き手・羽幌支局 長谷川賢、写真も) ――シーバードフレンドリーとは。 「シーバード(海鳥)にフレンドリー(友好的)という意味です。『海鳥に優しい』と言い換えた方が分かりやすいかもしれません。羽幌の沖合には海鳥の楽園・天売島があり、絶滅危惧種のオロロン鳥(ウミガラス)など貴重な海鳥が生息しています。豊かな自然を大事にしたいと思っている人が多い地域です」 ――なぜ海鳥に優しい取り組みを認証するのですか。 「環境が悪化すれば海鳥は減ってしまう。そういう意味で海鳥は環境のバロメーターです。認証は、特殊な刺し網を使うなど海鳥の混獲を減らす努力をしている漁業者を応援するのが狙いです。認証ラベルを付与された商品を消費者が買えば、環境に配慮した活動を支えることになります」 ――対象になるのは漁業だけですか。 「漁業に限定せず、例えば減農薬に取り組む農家も、森や川に負担をかけないという点で環境に優しいわけです。このほか、環境に配慮した商品を製造、販売する企業や、食材にこだわった飲食店など、さまざまな事業者を認証の対象にしたいと考えています」 ――制度の実現に向けた具体的な進め方は。 「町は、本年度から10年間の環境基本計画に制度創設を盛り込みました。早ければ来年度中に認証を始めるのが目標です。ワーキングチームは、その準備のために北海道海鳥センターと環境省羽幌保護官事務所が核となり、経済、観光関係など15団体が参加して昨年11月に立ち上げました。どんな取り組みが認証の対象になるのかを話し合い、具体的な事業者の洗い出しや認証基準の骨子づくりを進めています。認証の実施主体となる協議会を年内にも設立する予定です」 ――産業振興との両立が鍵を握りますね。 「事業者が経済的にも損をしない仕組みづくりが求められます。はぼろ学講座『どっちも大切!羽幌の自然と地域産業』を開くなど、農林漁業の現場を訪ねるフィールドワークも重ねています。キーワードは持続可能性。国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)は国際社会が2030年までに17項目の実現を掲げています。羽幌はその最前線を走っていると言えるでしょう」
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