北海道新聞旭川支社
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ヒューマン

横山昌明さん(58)*美瑛高校長*生徒のキャリア教育を推進*職業観養い将来に自信 2017/07/16
 よこやま・まさあき 1959年小樽市生まれ。法政大では「万葉集」など日本文学の古典を学んだ。卒業後、札幌東商業高を皮切りに浜益高などで国語科教員として勤務し、大麻高(江別市)教頭を経て2016年から現職。趣味は写真撮影。「美瑛の丘の風景はすばらしい」

 【美瑛】美瑛高(124人)は1年生を対象に、インターンシップ(就業体験)や講演会などを通じて生徒の職業観を養うキャリア教育に昨年度から本格的に取り組んでいる。中途退学者は減り、生徒に学習への意欲が生まれ、学校の雰囲気は変わりつつあるという。横山昌明校長にキャリア教育の手応えなどを聞いた。(相沢宏)


 ――キャリア教育の狙いは何ですか。

 「美瑛高に入学する生徒の多くは、将来に夢や目標を持ちきれていませんでした。中途退学者も目立ちましたし、学習意欲も高くないため、就職しても将来に希望を持てず、3カ月以内に離職してしまう卒業生もいました。この状況を変えるためには、1年生のころから職業観や勤労観、行動力を身につけ、意欲的に学校生活を送ることが必要だと考え、上川管内で唯一、モデル校の指定を受けました。進学、就職希望を問わず、1年生全員が年間35時間取り組んでいます」

 ――インターンシップはどうでしたか。

 「観光協会と商工会にお願いし、町内300社・事業所のリストを出してもらい、教員が一軒一軒受け入れを依頼しました。『美瑛高生のために協力しましょう』と言っていただいた企業もありました。本当に感謝しています。また、就業体験後の報告会では、就職するために自分に必要なスキル(技術)は何かなどを生徒に発表させています。『コミュニケーション能力が足りない』などと、自己分析が明確になりました」

 ――昨年度の1年生の中途退学者は前年度(2015年度)から8人も減り、4人でした。

 「将来に展望を持てるようになったので、退学者が減ったのだと思います。ガソリンスタンドで仕事を体験した生徒は、危険物取り扱いのための国家試験を受けました。学校全体も前向きな雰囲気になり始めました。漢字検定の受験者は例年10人程度でしたが、今春は26人に増えました。就業体験を通じて、どんどん自分をスキルアップしていく意識が広がっているようです。また、今年の学校祭では、人前で話すのが苦手だった生徒が、集まった大勢の町民を前に、自分のクラスの良さをPRするほどになりました。驚かされました。教員には『生徒の良いところを積極的に伸ばそう』という意識が広がってきています」

 ――今後の目標を聞かせてください。

 「生徒に夢と自信を持たせるのがキャリア教育の目的です。『美瑛高に行ったら夢が膨らむぞ。先生が僕らにやる気に火を付けてくれるぞ』と言われるような学校になればと思います」


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