北海道新聞旭川支社
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ヒューマン

佐藤鎮夫さん(78)*留萌市フラワーマスター連絡協議会会長*緑化活動で環境大臣表彰*優しい心 育む花の力 2017/07/09
さとう・しずお
1939年生まれ。中学の元英語教師。99年に留萌市港南中校長を定年退職。2010年から同協議会の会長を務める。自身の町内会の活動である留萌高校前の「東雲フラワーロード」の整備にも尽力。約660メートルの道路に夕日の景勝地である留萌をイメージしたオレンジ色のキバナコスモスを植えている。

 市役所や図書館など公共施設での緑化活動に取り組み、市内の景観向上に取り組んできたとして、6月に本年度の環境大臣表彰を受けた留萌市フラワーマスター連絡協議会。同会の会長を務める佐藤鎮夫さん(78)は「花は見て楽しむだけではなく、子どもの心の優しさを育んだり、犯罪を減らす力もある」と笑顔を見せる。花の持つ幅広い力を、存分に語ってもらった。(聞き手・留萌支局 工藤俊悟、写真も)

 ――協議会の活動について教えてください。

 「市内の4カ所の公共施設の花壇で植栽や水やり、雑草取りをしています。今年は6月に計3050株を植栽しました。9月中旬ごろまで、21人の会員で手分けして花壇の維持管理を行います。会長としてはほぼ毎日、午前4時に家を出て各施設を回り、『花の診断』をします。虫に食べられていないか。雑草が生えすぎていないか。水は足りているか。気になる点があれば、すぐに会員に連絡します。個人的には自宅近くの留萌市立病院入り口横の花壇も手がけていて、患者の方にも『花は癒やし』と喜ばれています」

 ――活動の中での課題は何ですか。

 「会員の多くは70代で、高齢化が進んでいることが課題と言えるかもしれません。でも、みな元気です。家に閉じこもらずに、外で仲間と花の世話をする。花を介しての世間話は、いつも以上に盛り上がります。これも花の持つ力でしょうか」

 ――花の魅力を知ったきっかけは。

 「今から50年以上前、私が新人の教員だった時です。子どもと一緒に学校の花壇をいじったのが始まりでした。日々の草取りや水やりは、手間がかかって大変でした。それでも、それを怠らずに、愛情を込めれば込めるほど、花はきれいに咲いてくれることに気がつきました。花は自ら何か言うことはないけれど、しっかり応えてくれる。子どもの心の中にも、こういった体験を通し、優しさが芽生えていくのがわかりました。また、校舎の周りを花でいっぱいにすることは、子どもを犯罪から守ることにもつながると思います」

 ――それはなぜですか。

 「花が咲いていてきれいな場所にはたくさんの人の視線が集まるからです。花が庭に咲いている家には泥棒が入らないとも言います。泥棒は人目を嫌いますからね。実際、空き巣被害に悩んでいた東京都杉並区では、花の苗や種を住民に配って、庭先や玄関先に花を植えてもらうことで、被害が大幅に減る効果があったそうです。花には世間を明るくし、住みよい環境をつくる力があるのです」


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