北海道新聞旭川支社
Hokkaido shimbun press Asahikawa branch

ヒューマン

嶋崎左恵子さん(44)*サロベツでのびのび育てるママの会代表*木道散歩やスノーシュー散策企画*自然に包まれ笑顔で育児   2017/06/11
しまざき・さえこ
1972年、東京都生まれ。94年に淑徳大社会福祉学部卒。保育士。医療保育士。サロベツ湿原センター職員で、本紙の「北極星」を執筆する嶋崎暁啓さんとの結婚を機に、2011年に豊富町稚咲内に移住。3歳の長男楢久(なりひさ)君と3人暮らし。

 豊富町と幌延町の日本海側に広がり、貴重な動植物が生息するサロベツ湿原。その雄大な自然を楽しみながら育児する母親サークル「サロベツでのびのび育てるママの会」(通称さろママ)が活動3年目を迎えた。積極的に活動する嶋崎左恵子代表(44)に活動の目的や湿原の魅力を話してもらった。(聞き手・天塩支局 山野辺享、写真も)

 ――活動の目的や内容を教えてください。

 「母親の日常は家事や育児に追われ、家に孤立しがちです。ですが1人だと大変な子育ても、みんなでするともっと楽しくなる。ここは一歩外に踏み出せば、サロベツ湿原など自然豊かな場所に恵まれています。この素晴らしいフィールドを生かさないなんてもったいない。家に閉じこもっていればイライラしますが、自然の中では笑顔になります。少しでもお母さんたちの気分転換につながればと思い、2015年から活動を始めました。夏はサロベツ湿原センターで開く木道のお散歩会を中心に、牛の搾乳体験や海岸での海遊びや森での遠足を企画。冬もスノーシュー散策や屋内での体操、アロマ作り体験をして、月2、3回のペースで平日に活動しています」

 ――湿原との関わりはいつからですか。

 「北海道はテレビなどを通じて子供のころから憧れの地でした。保育士として12年間働いていた川崎市の保育園を辞めて、08年夏に天塩町の酪農家でファームステイを体験。初めてサロベツ湿原を訪れ、都会にはない広大な景色、青い空、輝く緑、愛らしい草花に感動しました。豊富で暮らすようになり、四季折々の魅力にも触れました。ただ、地元の人にとっては、これほど豊かな自然環境も、当たり前すぎて見過ごされているようでした。サークル活動で自然の面白さ、魅力をより多くの人に伝えたいと思いました」

 ――参加者の反応は。

 「豊富や稚内、幌延などの親子が毎回10組ぐらい参加してくれています。ただ散歩するだけではなく、草花を紹介したオリジナルのカードを手に木道を歩くので、初めてでも楽しいと好評です。子供たちには将来、この地を離れることがあっても、誇りを持って生きてほしい。サロベツの自然に親しみ、友達とさまざまな体験をすることは、その後の人生においてプラスになると思うのです」

 ――今後の活動を教えてください。

 「これまでのサークル活動で、子育てを一緒にしてゆく仲間ができました。そんな仲間と、豊富町稚咲内のフィールドを生かした自主保育の取り組みを5月から始めました。今年は湿原のお散歩会を休日にも開き、保育園児も対象にしようと考えています。ただ、サークル活動は未就園児とその母親を支えるのが基本。この取り組みをどう引き継ぐかが課題です。行政などと連携しながら、地域ぐるみで子供を育てる雰囲気をつくりたいです」


戻る