|
きたもと・ゆきの 1992年、歌登町(現枝幸町歌登)生まれ。札幌光星高を経て北海道ハイテクノロジー専門学校(恵庭)の救急救命士学科で学び、在学中に資格を取得。2015年4月に南宗谷消防組合枝幸消防署に入った。趣味はアウトドア。 |
南宗谷消防組合枝幸消防署の消防士。37人中ただ1人の女性で、警防グループに所属し救急救助を担当する。人員に余裕があり、専門が分かれている大規模消防署と違い、火災が起きれば消火も行う。宗谷管内の女性消防士は、稚内消防署の石村幸(みゆき)さん(38)に続いて2人目。消防士になって3年目、地域住民の命を守るため奮闘する北本さんに、仕事への思いを聞いた。(聞き手・枝幸支局 宍戸透) ――なぜ消防士を目指したのですか。 父は町職員で消防団員でもあります。火災が起きると現場に向かう姿を見て、格好いいと思いました。また、中学生の時、文化祭に来ていて倒れた住民を搬送する救急救命士を見て、人の役に立つ職業に就きたいとも思いました。看護師も考えましたが、外で体を動かすのが好きなので、消防士を選びました。中学時代はバレーボール部の傍ら少年団で柔道もやっていて、体力には自信があります。 ――仕事の内容は。 主な担当は救急救助。搬送中の救急車内で、患者の血圧測定や心電図検査、酸素吸入などをします。昨年の救急搬送は425件。火災は11件でしたが、火災のときは消火もします。初めての火災出動は、1年目の2015年10月ごろ。訓練は受けていたのですが、煙と火の勢いがすごくて怖かった。慌ててしまい、消火栓側につなぐべきホースの金具を消防車側に付けようとしてしまいました。 ――身長154センチと小柄です。きついと感じることは。 泊まり勤務は3日に1回くらいのペース。交代で通信業務をします。仮眠中に救急出動することもありますが、緊張しているので、ぱっとスイッチが切り替わります。出動が長時間にわたるときは、体力的にきついときもあります。でも、搬送中のお年寄りに「ありがとう」と言われるなど、やりがいを感じます。重い機材を持つときは同僚が助けてくれますし、悩みを相談できる先輩もいます。 ――枝幸高で3月に行われた地元企業説明会で、熱烈にPRしていましたね。 枝幸消防署の女性消防士はまだ1人ですが、女性用の仮眠室や更衣室、シャワーがあります。同僚は若い人も多く、一緒にスノーボードに行ったり飲みに行ったりします。昨年12月、救命講習会で枝幸高に行きましたが、そのとき興味を持ってくれた女子生徒が今回、話を聞きに来てくれたのはうれしかったですね。 ――どんな消防士、救急救命士を目指しますか。 後輩も6人になったので、冷静に的確な判断、行動ができる、頼られる先輩になりたい。それと私は地元愛が強いです。枝幸ではコンビニでお年寄りから「元気にしているかい」と声をかけられることもあり、そんな温かさが心地よい。地域を守るため、これからも頑張りたいです。
|