北海道新聞旭川支社
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ヒューマン

薄田健格さん(56)*ふらの食と農の創造プロジェクト代表*多彩な作物生産、直売店で販売*次世代のために試行錯誤  2017/04/02
うすだ・たけのり
1960年、富良野市に農家の3代目として生まれる。北大理学部卒。父と農業に従事し、米国で半年間の農業研修や農業関連の米非営利団体勤務を経て、2001年に農家を継いだ。妻、中3の長男、両親と暮らす。高2の長女は旭川で下宿中。市農業委員も務める。

 富良野市の農家などでつくるグループ「ふらの食と農の創造プロジェクト」は「おいしく、楽しく、健康に」を掲げて、赤や白のタマネギ、ヤーコンやビーツなど多彩な作物を生産し、フラノマルシェ2の農産物直売店「彩り菜(いろどりーな)」に並べている。代表の薄田健格さんは「次世代のためにも農業には挑戦が必要」と力を込める。(聞き手・富良野支局 古市優伍)

 ――2015年3月の結成から2年がたちました。

 「現在、農家26戸と富良野物産公社など商工業者も会員に加わっています。年に3回ほど農産物の魅力についての学習会を開き、先進地への視察もしてきました。また、物産公社と彩り菜の運営を協議し、農畜産物を出荷しています」

 ――設立のきっかけは。

 「富良野のこれからをどうするか、農、商工、観光業が一緒になって考えなければ―と思う人が集まりました。知名度の高い富良野ですが、その理由や改善点を分析し、見合った実態をつくらないと長期的な地域活性につながらない。富良野は昼夜の気温差の大きい気候や、いろいろな土壌があり、多彩な農畜産物を育てられる環境に恵まれています。食や農業の豊かさを地域で共有、発信することで『住んでよし、来てよし』と思ってもらおうと結成しました」

 ――彩り菜には個性的な作物が多いですね。

 「白、赤、黄のタマネギをそれぞれ1種類としたら、扱う作物は100種類以上、品種の数は2、3倍はあります。サラダ、カレー向きなど品種には特徴があり、ニーズに合ったものを提供し豊かな食卓の一助になりたい。プロジェクトには元銀行員、元俳優志望の新規就農者らや30代、40代の若い人も多い。彼らが挑戦し、独創性を発揮できる実証実験の場でもあります」

 ――農業の魅力とは。

 「農業者の考えを表現しやすいことです。農業は致命的な経営破綻をしない限り失敗が許されます。多様な作物に挑戦し、育たなくて失敗しても、原因を考え改善することで次につながる。次世代のために今できる失敗をしておくことが私たちの責務だと思います」

 ――NPO法人日本青年海外派遣センター(札幌)の代表もしています。

 「米国とニュージーランドへ若い人を派遣し、農業研修を受けさせています。03年に設立し、延べ約300人を派遣しました。農業は世界中で営まれているグローバルな産業。視野を広げ、相対的に自分たちの農業を見る力を付けることが、国際化・自由化の時代に必要です」

 ――今後の目標は。

 「プロジェクトはまだ3年目で試行錯誤の段階。『おいしい、楽しい、健康的』の理念を市民や異業種団体にもっと発信し、連携を図っていきたい」


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