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あいかわ・はるき
1957年、長崎県の農家に生まれる。北海道大学を中退し、札幌で3年ほど販売業に従事した後、コマーシャルなどの制作を手がける会社へ。以来、フリーランスなどの時期も含め、30年以上映像の制作・編集に携わってきた。昨年8月から地域おこし協力隊として活動を開始。将来は留萌で農業と自分のやりたいことを組み合わせる「半農半X(エックス)」という生き方を目指している。 |
古着を再利用したポリエステル繊維培地を用いた試験栽培や水耕栽培―。留萌市は市中心部から約15キロ離れた市幌糠農業・農村支援センターの実験ハウス内で各農業実験を行っている。昨年札幌から移住し、実験に中心となって携わっている地域おこし協力隊員の相川春生さん(59)に、活動の内容や留萌への思いを聞いた。(聞き手・留萌支局 工藤俊悟、写真も) ――実験の目的を教えてください。 「高付加価値作物の収穫を目指しています。具体的には、亜鉛を多く含む根菜類や低カリウムのチンゲンサイといった成分の量を調整した野菜や、冬期間も栽培できる葉物野菜です。実験とはいえ、育つ作物を見る喜びは通常の農業と変わりありません。このほか、『ユニバーサル農業』の確立も目指しています」 ――ユニバーサル農業とは。 「誰でも簡単にできる農業のことです。ポリエステルは土に比べて軽いため、女性や高齢者などでも持ち運びが簡単。作物は地面ではなく、車いすの方も楽に作業ができるほどの高さの台の上で栽培しているので、かがむ必要もありません。農業の知識が無い未経験者向けの農作業マニュアルも今後さらに充実させていきたい。59歳と若いとは言えない私でも楽に農作業ができるのか。作物だけでなく、私自身も『実験』の対象だと思っています」 ――留萌の農作物や実験の様子などについて、会員制交流サイトのフェイスブック(FB)で動画も交えながら積極的に紹介していますね。 「留萌の農作物の良さを情報発信することも役割の一つ。本やインターネットで事実関係に誤りがないか慎重に確認しながら書いています。今後は農業以外にも、もっと広く留萌をPRする記事を書こうと思っています。映像制作の仕事をした経験も生かしながら、歴史や暮らし、観光ポイントなど幅広く紹介し、かつて留萌に住んでいた人に故郷を思い出してもらい、多くの人に興味を持ってもらえるようにしたいです」 ――札幌から留萌に来て5カ月が過ぎました。留萌はいかがですか。 「田舎のような雰囲気で暮らしたいと考え、地域おこし協力隊を志しました。着任先が留萌と聞いて、海の近くで潮風に吹かれながら作物を育てるというイメージでしたが、活動拠点の幌糠は山の中でびっくり。最初は相手のことを知らない『見合い結婚』のような感じでした。でも今は、ここに来て良かったと即答できます。のどかな雰囲気、人の親切さ、星空のきれいさなど魅力はたくさんあって、一つには絞れない。近くにコンビニエンスストアがなくても、マイナスには思いません。まだまだこれからも良さを見つけられると思っています」
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