北海道新聞旭川支社
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ヒューマン

中沢和一さん(69)*稚内市民観光ボランティアガイド会長*道の観光ホスピタリティ実践者*稚内の魅力 もっと伝える  2016/12/04
なかざわ・わいち
1947年、宮城県生まれ。無線学校を卒業後、通信士としてカツオ、マグロ漁業に携わる。68年に稚内市へ移住し、沖合底引き網漁船などに乗船した。2000年に漁師を引退し、現在は警備員。10年には稚内観光マイスター検定の上級試験に合格。稚内宮城県人会の会長などを務める。

 2008年に発足した「稚内市民観光ボランティアガイド」が、道内の観光振興に貢献した個人・団体に贈られる本年度の道の観光ホスピタリティ実践者に選ばれた。同団体が市内などで案内する観光客は毎年約2千人。初代会長を務める稚内市の中沢和一さん(69)に、ボランティアガイドへの思いを聞いた。(聞き手・稚内支局 前田健太、写真も)

 ――観光ボランティアガイド立ち上げの経緯と活動について教えてください。

 「稚内の歴史や産業など幅広い知識を問う稚内観光マイスター検定が08年から始まりました。その縁で、私を含めた最初の試験を受けた数人で、稚内市民観光ボランティアガイドを立ち上げました。現在、会員は20代~70代の38人です。観光シーズンとなる春の大型連休から9月末まで、土日に稚内公園や宗谷岬でガイドします。利尻・礼文島行きのフェリーの船内で行うこともあります。私は稚内で30年以上、漁師をしていましたが、その経験から宗谷海峡にいる魚や漁業について話すと、多くの乗客が目を輝かせて話を聞いてくれます」

 ――これまでの実績が評価され、観光ホスピタリティ実践者に選ばれました。

 「今年10月、全道のボランティアガイドが集まって、意見交換する観光ホスピタリティ全道大会が稚内で開かれました。その際、市内各地や離島などわれわれの活動範囲が他の地域のボランティアガイドに比べ、非常に広いことを知りました。これに加え、稚内高の生徒と一緒に活動していることも、評価につながったと思っています」

 ――高校生もボランティアガイドに関わっているんですね。

 「私が稚内高で講演したり、研修の一環として稚内高の生徒を相手に稚内公園をガイドしたりと、後任の育成にも力を入れています。講演では、漁師時代のように鉢巻きを頭に巻き、稚内に伝わる郷土芸能の稚内海峡太鼓保存会の法被を着ます。この格好を見れば、稚内の文化や産業の理解に少しでもつながると思うのです。高校生は会員ではありませんが、卒業後、会員になる人もいます」

 ――今後の目標を聞かせてください。

 「十分に知られていない稚内の魅力をもっと伝えたいです。今は特に、宗谷岬の近くに広がり、北海道遺産の宗谷丘陵を散策できるフットパスコースを知ってもらいたい。道内各地でフットパスが身近になっていますが、北海道遺産を歩けるコースは珍しいです。目の前に広がる宗谷海峡、ホタテ貝がまかれた白い道など、長時間歩いても、飽きずに楽しめますよ」


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