北海道新聞旭川支社
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ヒューマン

今拓己さん(67)*留萌ブックセンターby三省堂書店店長*留萌に根ざし開店5周年*市民と協力 本を身近に 2016/07/10
こん・たくみ
1949年、石狩市(旧浜益村)生まれ。小学6年の時に留萌へ。留萌高卒業後に上京。設備機器卸の企業などを経て78年に留萌へ戻り、翌年、市内の老舗「誠文堂書店」に就職。同店が2011年に倒産するまで勤めていた。篆刻(てんこく)や表札の木彫りが趣味。購入した本や雑誌の大半は読み終えると市立図書館に寄贈している。

 留萌市民が誘致活動を行い2011年7月24日に開店した留萌ブックセンターby三省堂書店(南町4)がまもなく開店5周年を迎える。誘致に尽力した「三省堂書店を応援し隊」の協力を得ながら、本の読み聞かせや、病院や市中心部での出張販売などに積極的に取り組み、市内唯一の書店として奮闘している。開店当初から店長を務めている今拓己さんに5年間への思いや今後について聞いた。(聞き手・留萌支局 堀雅晴、写真も)

 ――開店して5年の節目を迎えました。

 「あっという間でしたね。お客さまや『三省堂書店を応援し隊』に支えられてここまで来ることができました。ポイントカード会員は1万4900人を超え、1万5千人まであとわずか。今年に入ってからも月平均約60人が加入してくれています。ありがたいことです」

 ――「三省堂書店を応援し隊」は、店内での本の読み聞かせや、病院や市街地にある「るもいプラザ」での出張販売、イベントの手伝いなどにも関わり、欠かせない存在ですね。

 「家族みたいな存在です。読み聞かせの様子を見ていると、本を好きな子を増やしたいという気持ちがひしひしと伝わってきます。これほど書店のことを考えてくれる人たちはいません。1年目はぶつかることもありました。でもメンバーと月1回開く作戦会議で熱心さが伝わってくるんです。こちらが何も言わなくても率先してやってくれます。書棚もメンバーが整えてくれたりするんですから。実際、するには至りませんでしたが、レジ打ちも申し出てくれました。とにかく感謝しかありません」

 ――マチにとって本屋さんとはどういうものでしょう。

 「以前、地元に書店がない初山別のイベントで本を販売したのですが、ものすごく買っていただきました。書店があれば本が身近にあるのは当然と思っていましたが、ないから本に飢えているんですね。留萌も人口は減少していますが、書店の灯は消してはいけないんだと強く思いました」

 ――今後の抱負を聞かせてください。

 「私のモットーは『どんどん外に出よう』です。店でお客さんを待つのではなく、こちらから飛び込んでいかないといけないと思うんです。出張販売や、本の注文を受けて届ける『お届けサービス』はその一例ですが、出張販売は留萌以外から声が掛かればぜひ行きたいと思います。お届けサービスは現在、市立病院、るもいプラザ、留萌振興局の3カ所で行っており好評です。ほかでもできるのではないかと思っています」

 ――23、24日には同店内外で5周年の感謝祭を行います。

 「留萌を舞台にした小説『海萌ゆる』の作者で留萌出身の平井利果さん(81)=愛知県一宮市在住=のサイン会を23日午前10時から行うほか、楽器演奏やマジックショー、本の朗読など盛りだくさんです。来場をお待ちしております」


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