北海道新聞旭川支社
Hokkaido shimbun press Asahikawa branch

ヒューマン

森山領さん(62)*FMりべーるパーソナリティー・社長、医師*FM生番組が800回突破*情報伝え元気も届ける    2016/04/03
もりやま・りょう
1954年、旭川生まれ。旭川北高、杏林大医学部卒業後、旭川赤十字病院勤務などを経て85年、医療法人元生会森山病院理事長に就任。旭川日英協会会長なども務めている

 旭川市内の医療法人理事長を務める傍ら、旭川のコミュニティー放送「FMりべーる」で2000年4月から担当する1時間の生番組が、3月23日で800回となった。当初は水曜日午前7時スタートで、6年前から水曜午後9時開始に移った。以前活動していたバンドで培った美声で、番組内では「シンガーアンドドクター」と自己紹介している。

 「りべーるの柳沢紀夫社長(当時)から、番組でしゃべってほしい、と言われたのがきっかけです。半年間だけ、という約束でした。専門の医療と好きな音楽、大学時代まで打ち込んでいた野球の話で乗り切ったのですが、半年が過ぎようとしても社長から何も言われず、気づいたら800回まで来ました。その間、父と母が亡くなったときの2回だけ代役をお願いし、電話で一部だけ出演しましたが、それ以外はすべてメーンとしてマイクに向かっています。朝は早起きが大変でしたけど、夜に移ったら今度は会合や飲み会に出られなくなりました。週1回のラジオは生活のリズムになっています」

 普段は月~木曜、経営する森山病院の内科外来で患者と向き合っている。生放送には悩みや相談も多く寄せられている。ラジオで話すことと、医師の仕事は似ているという。

 「医療に関わる者として、悩んでいる人や、苦しんでいる人の声に誠実に耳を傾けるのは基本中の基本です。医師としての経験がラジオに生きています。病は気から、と言いますが、最近は悩んでいる人が多いと感じます。病気の程度よりも深く悩んでいる人もいます。外来患者が『森山先生と話したら治った気がします』と言ってくれたり、『ラジオ聞いて元気になりました』って言ってくれることが本当にうれしい」

 昨年5月に柳沢社長が病気で亡くなり、後を引き継いで社長に就任した。非常勤で無報酬だという。財務状況などをよく知らずに引き受けたが、運営方法を一部見直すなどして収支改善に取り組んでいる。

 「昨年春に柳沢さんが、お願いごとがあると言ってスタジオに来られました。てっきり番組終了か、もっと広告を出してほしいと言われるかと思ってね。そうしたら社長就任の要請でした。病院経営があるので無理ですってお断りしましたが、柳沢さんが周囲に、私はラジオを愛している男だから、会社やスタッフを守ってくれるだろう、だから社長をお願いしたと話されていたことを聞きました。周りからの説得もあり、社長を受けることにしました。パーソナリティーのギャラをもらっていないので、以前は好き勝手にしゃべり、問題があったら会社が責任取るだろう、って気持ちだったけど、これからは社長の私が責任を取ることになりますからね。話す内容や言葉遣いに一層気をつけるようになりました」

 コミュニティーFMの使命は、安心安全に役立つ情報を提供するとともに、旭川を元気にすることだと考えている。

 「旭川は災害が少ない都市ですが、備えはしっかりしなければ。市などと連携を深め、災害発生時にリアルタイムで情報を伝えられる準備を進めたい。普段のラジオは、地元で頑張っている人、イベントを企画している人など、旭川を盛り上げたい、と思っている人にもっと出演してもらいたいですね」

 理事長を務める医療法人元生会は、旭川駅南口そばに広がる北彩都地区で医療機関と健康関連施設などを組み合わせた大型複合施設「旭川ウェルネスセンター(仮称)」構想を進めている。総工費40億~50億円を予定する大きな事業だ。

 「若い頃から、旭川は医療福祉を充実させることが重要だと言い続けてきました。現在は医療費の抑制のためにも予防医学に力をそそぐことが大切です。ウェルネスセンターは旭川市の新しいシンボルになりえると思っています。現在は設計作業を進めており、2016年度中には着工にこぎつけ、19年度には病院部分の開業を目指しています。北彩都は景色が良く、大きな池がある。バーサーロペットのコースになっているし、マラソンを楽しんでいる市民も多い。医療・健康施設の立地としては最高だと思います。もちろん、りべーるのサテライトスタジオも設置して、健康情報を発信したい。センターの一部が開業している2020年にはラジオ出演も千回に。記念のイベントを大々的にやりたいなあ」

 文と写真 旭川報道部 金谷育生


戻る