北海道新聞旭川支社
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北極星

森川理加子(士別・演劇集団主宰)*休校「仕方ない」  2020/03/09

 この冬は平穏だ。雪が少なく除雪といくつもの屋根の雪下ろしに悩まされることもない。するとしても屋根に傾斜のないガレージくらいか…と油断していたら、新型コロナウイルスの影響で大変なことになった。

 娘の通う小学校が1週間の臨時休校になったときは、まだ余裕だった。羊農家なので、今が出産シーズンで忙しいが、普通の休日と同じく子供を畜舎に連れていって働けばいい。そこが自営業の強みだが、夫婦共働きの家庭や祖父母が遠方に住んでいる親御さんは頭が痛いだろう。

 そしてさらに春休みまでの休校が決まってしまった。これにはのんきな私もさすがに焦る。だって娘は小学1年生。家庭学習に慣れた学年の子ならともかく、勉強嫌いで基礎学習もまだ怪しい子が、学年途中で長期の休み。そしていきなり新学期に進級してしまう。

 これは非常にまずい。気持ちは焦るが、羊のお産も待ってはくれない。娘が遊ぶのを横目に見守りながら仕事をこなすのが精いっぱい。学習のフォローまで手が回らない。

 それでも、雪遊びがしたいという娘に、ガレージの雪下ろしを一緒にしようと言うと大喜びで手伝ってくれた。不安はあるが、娘の笑顔を見ていると、一緒に過ごせる時間がいとしいとも思える。仕方ない。今は出来ることをするだけだ。


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