北海道新聞旭川支社
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北極星

谷龍嗣(留萌・僧侶)*巣立つ皆様へ「顔晴れ!」   2020/03/08

 今から25年前、留萌高校吹奏楽部の顧問、横地修先生に連れられて名門の旭川商業高校吹奏楽部の合宿所に行きました。少しでも上手になろうと技術を学びに行った私は、訳も分からず泣いていました。それは5人ほどの私たちのために全部員で財津和夫の「青春の影」を合唱してくれたんです。歌声は心がこもっていた音楽そのものでした。

 その音楽を導いた旭商顧問の佐藤淳先生がよく使う言葉に「顔晴れ」があります。「頑張れ」ではなく「顔晴れ」。自分も笑顔で、そして周りの人も笑顔に…と受け止めていますが、なかなかできることではありません。

 大学を卒業後、自分の思い通りにうまくいっていなかった時に「谷さんは、自分の思いをすぐに言っちゃうんだよ」と旭商OGの方にアドバイスを頂いたことがありました。その時以来、「頑張る」の本当の意味は「我を張る」ではなく「我を破る」と気付いた気がします。

 自分中心だと周りが見えなくなってしまう。だからその思いから少し離れて、本当に大事なことを考える。「青春の影」の歌詞に、意中の女性を幸せにすることこそが「これからの僕の生きるしるし」とありました。自分もあなたも幸せに、そんな生き方を多くの方々から教えてもらって、42年目の人生を迎えます。


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