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北極星

國枝保幸(市立稚内病院長)*患者流出率  2020/02/23

 稚内市の患者の3、4人に1人は、札幌や旭川に流出しています。道内でも抜きんでて高い流出率です。もちろん当院では不可能な治療などのため、他の病院を紹介する方はいますが、それはごく一部です。入院での検査や手術などの治療をお勧めすると、都会の病院を希望される方が非常に多いのです。

 「遠くまで行かなくても」とイライラしながら対応しようものなら、「医者の態度が悪い」と言われかねないので、グッと我慢して、他の病院を受診するための段取りと資料を準備するわけですが、これが結構な労力なのです。

 紹介先を任される場合は良いのですが、病院を指定されることも多くあります。たいてい有名病院を希望されます。しかし、その病院がその分野を守備範囲としていない場合もあります。希望する理由を尋ねると、知り合いに教わったとの返答ですが、その方は医療関係者でもなんでもないのです。

 紹介した患者さんの治療方針が決まり地元での治療を依頼される場合もありますが、有名病院でも時に医療の質に差があったりし、その方針に疑問を持つこともあります。患者がたくさん押し寄せているから忙しくて地方からの患者は丁寧に診療してくれないのではと勘繰ることもあったりします。


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