北海道新聞旭川支社
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北極星

嶋崎暁啓(豊富・NPO職員)*外国から届いた小包  2020/02/03

 冬のある日、職場に小さな段ボールが届いた。外国からの小包だった。箱の表には、一生懸命書いたであろう漢字と英語交じりで宛名。そして、裏側には懐かしい名前があった。「ナターシャ」。箱の中にはかわいらしいチョコレートと、スタッフ全員に宛てた丁寧な手紙が入っていた。たどたどしい日本語ではあるが感謝の気持ちが伝わってくる温かな内容だった。

 昨年夏、私たちは初めて海外からのインターンシップ生を受け入れた。彼女はスイスの大学で学ぶドイツ人学生だった。約3週間の滞在中、国立公園で湿原の調査や保全活動、デスクワーク、地域の行事などに参加した。慣れない環境の中、何事にも興味を持ち、積極的に取り組む姿勢に感心せずにはいられなかった。また、彼女の言葉を通して改めて気付かされる発見もあり、私たちにとって得難い経験となった。

 サロベツをたつ前にインターンシップの感想を聞いた。彼女は「いろいろなサロベツがあることを学んだ」と、いくつもの具体例を挙げながら話してくれた。

 私は「多様性こそがサロベツの最大の魅力」と思っている。春夏秋冬、さまざまな表情を見せてくれ、飽きることがない奥深さを感じるからだ。現地の自然や人々の関わりが海外から来た彼女にも伝わっていたことがうれしかった。


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