昨年12月に上演された名寄歴史市民劇「スターゲイザー」が2月9日に札幌で上演される。2月15、16日には旭川歴史市民劇「旭川青春グラフィティ ザ・ゴールデンエイジ」のプレ公演が行われる。ともに広い世代に参加の機会が開かれ、大正から昭和初期の若者群像を描いている。舞台成果に大いに期待している。 昭和50年ごろ、劇団銅鑼(どら)(東京)が北海道巡演を行った「雪の下の詩人たち」という舞台を思い出した。上川地方を舞台に、小熊秀雄や今野大力といった若い詩人たちが、治安維持法による弾圧に抗する純粋なエネルギーの横溢(おういつ)に、観客は心を揺さぶられた。 昭和の終わりごろ、地域の歴史をたどる市民参加劇に何年か連続して取り組んだ。その中でも、大正から昭和の時代を、自らの理想実現のために熱く生きた若者たちの姿を描いた。 平成を経て令和の時代を迎えた。大正から昭和初期という魅力的な時代を離れて、戦後の若者群像に目を向けることが求められているのではないかとも思う。 現代の日本に対して募る危機感を土台として、体制に勇猛にあらがっていく若者たちが、道北の大地を駆け抜けるような舞台を見たい。文化的な渇きや思想的な空腹感とは無縁の生活に堕している若者たちの精神を覚醒させるような舞台の創出に関わりたいとも思う。
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