北海道新聞旭川支社
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北極星

谷紀美子(名寄・非常勤図書館員)*土台だけで  2019/12/23

 勤務先の名寄市立大図書館の歴史についての文章を書くことになった。勤務年数が長くて最年長の私でも、前身の名寄女子短大が設置された1960年には2歳。名寄にいたわけでもなし、とりあえず当時のことがわかる市史・記念誌・回顧録を読んでみた。

 常々、名寄市のような人口3万ほどの自治体に大学があるのは奇跡的だと思っていたが、やはり開学までの苦労は想像を超えるし、開学前年の実地調査の様子には驚いた。

 大学を新設しようとする場合、実地調査では校舎の8割方できているのが通常だという。だが、実際はなんと土台のコンクリートを流したばかりでまだ固まってもいない状況だった。

 それでも認可が下りたのは、市長はじめ担当者の熱意が伝わったということだろう。で、それから冬にもかかわらず突貫工事が行われ、春までになんとか校舎はできあがる。図書館にいたっては、目標冊数を集めるべく寄付・献本を募り、リヤカーで市内各所を回ったそうだ。

 名寄のみならず道北地域全体の将来を見据え、教育を重視し、自前で短大を創り上げた当時の行政トップに敬服する。


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