初めてお客さんからお金をいただいたときのことを今でも思い出す。右も左もわからずゲストハウスを開業して3年。それまでは振り込みで給料をもらうばかりだったが、独立となるとそうはいかない。 今なお商売が順調とは言いがたいが、開業時はもっと不安が大きく、果たして1年食えるのかという心配があった。だからこそ手渡しでもらうお金の重みは格別だった。 先月、およそ1年ぶりに島を離れ、大阪や東京へ出かけた。大きな様変わりを感じたのがキャッシュレス決済だ。どこもかしこもキャッシュレス、2%や5%還元なんて当たり前、条件次第ではそれ以上の還元も珍しくないらしい。何より普及の早さに驚かされた。 以前、「宿にキャッシュレス決済を導入しませんか?」と、営業の電話がかかってきた。その時は消極的な対応をした。やはりお金は手渡しだろうと。 ところが、実際に使うと、悔しいことに便利だ。財布はすっきりし、現金を持ち歩く心配もない。先日、以前から欲しかったカメラを買う機会があったのだが、キャッシュレス決済にするかしないかで還元額が5千円ほど違うと言われた。ばかにできない。 さて宿への導入をどうしよう。葛藤しながらも今、僕は「PayPay」の資料を読んでいる。 |