北海道新聞旭川支社
Hokkaido shimbun press Asahikawa branch

北極星

稲荷桂司(旭川・公務員)*たたずまい  2019/09/15

 小学生の下の娘がサイクリングづいていて、休日は一緒に自転車で出かけることが多くなった。旭川でサイクリングといえば、定番は石狩川の河川敷。道幅が広く、舗装してあり、信号もないので子ども連れでもゆっくりと自転車を楽しめる。

 ある時気づいたのは、平らで芝も刈り込まれた河川敷に、大きな木が何本も立っていることだ。周りがきれいに整備されているため特に目立つ。野生のものか、護岸のため植樹されたものかも分からない。ただ、周囲の変化とは関係なく、数十年の時をそこで過ごしてきただろう樹々は、何か独特の風格を放っている。

 風格もさることながら、木を含めたその場の空間の存在感に引き付けられる。何というか「たたずまい」とでもいうべきものが、どの木にも感じられるのだ。

 絵心があればスケッチをしたい衝動に駆られる。樹木という対象だけでなく、空間を切り取りたい。写真に撮ってもいいのだけれど、やはり手で描いて、身体で受けとめたいと感じてしまうのだ。

 下の娘は最近、絵にも入れ込んでいて、しょっちゅうお絵描きをしている。私も、絵心の何のと言い訳せず、出来栄えを気にせず、木々のたたずまいを味わってみようか。今度のサイクリングにはスケッチブックを持って行こう。


戻る