北海道新聞旭川支社
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北極星

嶋崎暁啓(豊富・NPO職員)*夜の湿原散歩いかが  2019/08/25

 昼間にサロベツ湿原の木道を歩きに訪れる人は多いが、夜に歩きに行こうという人は少ないだろう。だが、サロベツ湿原センターでは、木道もトイレも24時間使えるようになっているので安心して利用できる。湿原のナイトハイクに出掛けてみるのはいかがだろう。

 月が優しく照らし出す湿原は、まさに幻想的。そして、都会で暮らしているとなかなか気付かない「月の光の明るさ」に驚くだろう。人の顔もはっきり見えて、自分の黒い影が足元にはっきりと映し出される。

 一方、月明かりの無い暗い夜もまた素晴らしい。きらめく星空が地平線ギリギリまで続き、まさに360度の天然プラネタリウム! 夜空に見えている星の数があまりに多すぎて、星座を探すのにもひと苦労なほどだ。天の川がダイナミックに頭上に広がり、流れ星や人工衛星が頻繁に行き交う。昼間の熱を蓄えてじんわり温かい木道に寝転ぶと、自らも宇宙の一部になったような感覚が味わえる。

 夜は感覚が研ぎ澄まされるからだろうか。草や花の香り、鳴く虫たちの声がはっきりと聞こえてくる。時折、鳥や動物の気配も感じられ、昼間とはまるで違う世界がそこにはある。これからの季節は空気が澄んでいき、ナイトハイクにはうってつけだ。寒くないように温かい服を着て、夜の湿原散歩へぜひどうぞ。


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