北海道新聞旭川支社
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北極星

谷紀美子(名寄・非常勤図書館員)*あの世からのLINE  2019/07/22

 今年ようやくガラケーからスマートフォンに変えた。そもそもメールと電話くらいしか使わないので何の不満も不便もなく、実に12年間、同じ機種を使っていた。が、夫と娘たちがLINE(ライン)でやりとりしているのはうらやましい。孫の動画も見たい。

 というわけで携帯電話店へ行き、やたらと待たされ、理解を超える説明を受け、スマホを手に入れた。どこをどう操作するのか途方に暮れつつ4カ月が過ぎ、全機能の1%も使っていないと思うが、ラインくらいはできるようになった。

 ある日、ラインの「友達」に突如母の名前が追加された。私は事態がのみ込めず、スマホを凝視した。眉間にはしわが寄っていただろう。だって母は3年半前に亡くなっているのだ。

 姉に「聞いて。母がラインの友達になっている」と告げると、「あの世からなんか言いたいことでもあるんじゃないの」と返信してきた。姉は東京都知事と同姓同名で、3年前の都知事選の時は「小池百合子で~す。これから忙しくなります!」なんてふざけたメールをしてきた人だから、まあ言いそうなことだ。

 この怪奇現象はうちの長女にも起き、「ばあちゃんが!」と騒ぐ。結局、解約した母の電話番号を誰かが使い始めたからだろうという想像に落ち着いた。たぶん、あの世からではない。


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