北海道新聞旭川支社
Hokkaido shimbun press Asahikawa branch

北極星

森川理加子(士別・演劇集団主宰)*懐かしの母校 2019/04/28

 早いもので娘もこの春から小学生。親の方が緊張して入学式の日を迎え、私も久しぶりに母校である校舎へと足を運んだ。あちこちに改修された形跡が見られるものの、あまり変わらぬ校舎がなんとも懐かしい。

 夫は同じ小学校出身だが旧校舎を卒業したので、新校舎に入るのはこれが初めて。私は3年生まで旧校舎に通い、4年生から現在の新校舎に通った。そんな私も今年49歳。新校舎といっても築39年である。そんな校舎を今でも新校舎と呼ぶのは、もはや私だけかもしれない。

 思い出すのは3年生の3月末、まだ雪が残る中、児童みんなで旧校舎から新校舎の教室まで、両手で自分の机と椅子を抱えて一列に並んで歩いた学校の引っ越しだ。娘に旧校舎の場所を教えると「結構遠いじゃん! それを机と椅子を持って運んだの?」と驚いていたが、当時は今ほど建物もなく畑ばかり。畑の真ん中を突っ切って最短ルートを歩いたので、さほど遠くは感じなかった。

 思えば、街の様子はずいぶん変わった。子供でごった返していた教室も、今は随分と広く感じる。寂しいけれど、少ない人数だからこそ逆に人の距離が近く感じるのは気のせいか。楽しそうな子供たちの笑顔に、緊張はいつの間にかワクワクとした気持ちに変わっていた。


戻る