夕暮れの講堂で「遠き山に日が落ちて」の曲とともに、キャンドルの灯が次々と手渡された。流木を利用して作られた中央のキャンドルが明るく温かくゆらめく時、それを取り巻く人々の?と瞳は輝き、言い知れぬ荘厳な思いに満たされた。 士別市つくも青少年の家は1968年、開道100年事業の一環として開所した。当時、活発に活動していた子ども会、地域の青年会や婦人会の宿泊研修、スポーツ・文化団体の合宿、企業の社員研修の場として盛況を極めていた。順天堂大が陸上競技北海道合宿の第一歩をしるしたのもこの場所だった。 食事の良さも大きな特色だった。時には中庭で一斗缶にまきをくべてのジンギスカン鍋があったり、昼食の弁当など利用者の希望に細かく対応して好評を得ていた。 時代の変化の中で、この施設は今月末をもって幕を閉じる。生涯学習のマチの根幹を支えてきた一つの大きな柱が姿を消すことの意味を深く心に刻みたい。 教育や学術・芸術文化の振興を、効率性や費用対効果という尺度で断じてはならない。つくも青少年の家は消灯のアナウンスをもって永い眠りにつく。「今日の日はさようなら」をするが、いつの時代にか、このような交流の館が望まれる時が再び訪れることを願っている。
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