北海道新聞旭川支社
Hokkaido shimbun press Asahikawa branch

北極星

有村幸盛(旭川・文化団体事務局長)*若い観客を増やすには 2019/02/24

 昨年12月、第1回札幌福北寄席を観(み)に札幌に行きました。二つ目の落語家瀧川鯉八と浪曲師玉川太福の若手2人が出演。鯉八は高座に上がるなり、開口一番、片手を上げて「ちゃおー」とあいさつ。演じた自身の新作「俺ほめ」「ニキビ」は私の落語の概念を超え、今までにない全く新しいタイプのものでした。

 一方の太福は、古典「陸奥間違い」と自身の新作「地べたの二人~おかず交換」を披露し、本格的な力量のある浪曲師であることを示しました。

 2人に共通しているのは声が大きくて明るく元気なこと。それと本編に入る前のトークで笑いを取り、やや強引な感じで会場を自分の世界に引き寄せるスタイル。観客の年齢層は20~70代と幅広く、女性も目立ち、他の落語会とは違う華やいだ雰囲気がありました。

 帰りに公演パンフレットを読み返すと、若い才能が育つのを見守り、支える師匠やベテラン、所属団体の存在に気づきました。古典や名作だけに頼っているだけでは、やがて観客の高齢化が進み、自分たちの芸能が衰退していくのではという問題意識が根底にあるのだと思います。演じる人が若く、気楽に参加できる場を設ければ、古典芸能でも若い観客が増えることを知りました。旭川でも若い演芸者が公演する場をつくりたいと考えています。


戻る