北海道新聞旭川支社
Hokkaido shimbun press Asahikawa branch

北極星

村山修(枝幸・ダイニングバー店主)*日食・月食  2019/01/14

 もう訊(き)けないのだけれど、僕が小学生のころ、睡眠中の深夜、両親に起こされ「月食」を見た。昨年、父が亡くなったので、どうして僕に見せたかったのか、もう、訊けない。

 年が改まって早々、「日食」があった。朝起きると母はすでに見るための準備をしていた。その日に、日食があるなんて話をしていなかったのに、テーブルには、どこから出してきたのか、観測用のプラスチック板が。

 普段から天体の話などしたことはないのに、忘れたころにやってくる月食や日食を見る。

 この町は、実は日食に縁のあるところでもある。1896年(明治29年)の日食で枝幸の人々が観測に協力したお礼に、アメリカのトッド博士から贈られた洋書約900冊をもとに1903年(明治36年)、北海道初の公立図書館が開設された。また、街の各所にも記念碑が立っている。

 それが理由ということでは無いだろうけど、ちょっと天体好きになったのはそのおかげかもしれない。年の初めに、この一年の天体ショーをチェックする楽しみは変わらない。

 空を見上げる機会は、案外少ないかもしれない。凛(りん)とした冬の夜空では、満月が通常より大きく見えるスーパームーンが今年は2月20日未明に観測できる。

 いつもの「食」のお話は…。変則スタートの今年。


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