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北極星

柴田えみ子(旭川・尊厳死協会道支部理事)*人生会議  2018/12/23

 親が突然倒れ、命が脅かされる状態になった時、終末期の医療について冷静に考えられる人はどのくらいいるでしょうか。本人の意思が分からないと、家族は苦悩します。その場で言い争ったり、重い決断を下したことに対して「あれで良かったのか」と、終生悩んだりすることもあります。

 厚生労働省は先月、患者本人の意思表示が可能な段階で家族や医師と治療、療養方針を話し合うACP(アドバンス・ケア・プランニング)の名称を「人生会議」と決めました。

 尊厳死の講演の度に私は「元気なうちに尊厳死について考えましょう」と提唱してきましたが、死という文字に拒否反応を示す人も少なからずいます。しかし、これからは「元気なうちに人生会議をやりましょう」と声を掛けたいと思います。終末期に自分はどんな医療を受けたいのか、受けたくないのか。延命治療とは何なのか。自分の人生、責任を持って締めくくるための生き方とは―。

 人生会議は命や人生そのものを考えるきっかけになりそうです。まずは家庭で「わが家もそろそろ人生会議をしようか」と話題にできたらいいですね。死が避けられないものなら、元気なうちから自分の死について考え、できることはしておく。私は、それが大切な家族への思いやりだと思います。


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