北海道新聞旭川支社
Hokkaido shimbun press Asahikawa branch

北極星

伊藤由紀子(留萌・主婦)*モノクロの世界は御免 2018/12/09

 10月初めに小さな白い綿虫が雲海のように沸き上がり、冬近しを知らされる。

 雪の降る期間が長い道北地方は、曇天の下で雪との戦いと、スキー、スノーボードなど楽しみも多い。

 子どもの頃過ごした札幌は豪雪で、玄関も窓もふさがれて、家の中は真っ暗になった。雪の中で遊ぶと、毛糸の帽子や手袋に雪がからみついて、取りづらく困った。

 真っ黒に日焼けして外で遊びたい幼い頃は戦時中で、毎日数回「ウー」と空襲警報が鳴ると、背中に負った防空頭巾を自分でかぶって、防空壕(ごう)に逃げ込んだ。中は真っ暗で米軍の偵察機の振動で土が落ちてきて怖かった。

 外地に派遣された兵士の戦病死や餓死に目をそらし「負け」を認めなかったために、日本は2度も原子爆弾を落とされてしまった。

 真夏のある日、静かな朝を迎え、家の縁側に置かれたラジオの前に近所の人たちが集まり、うな垂れていた。戦争が終わり、外で遊ぶことができたが、ひもじさは数年続き、栄養失調で足に障害が残りました。

 拙い文に励ましてくださる方々と交流ができ、幸せな10年を過ごせました。

 貧しくて本を買ってもらえなかった子どもの頃の一番の楽しみは道新を読むことでした。私は後期高齢者ですが、世界永遠の平和を願っています。


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