先日、旭川西高演劇部の公演「小熊秀雄『飛ぶ橇(そり)』をめぐる三月」を旭川市公会堂で鑑賞しました。 「飛ぶ橇」は旭川ゆかりの詩人小熊秀雄がアイヌ民族を題材に書いた長編叙事詩です。同高演劇部は今年1月、地元劇団主宰者の指導を受け、この詩の朗読に挑戦しました。劇はこの時の経験をもとに書かれた作品で、10月の高文連上川支部の演劇大会で最優秀作品に選ばれました。 舞台は演劇部の部室から幕開け。はじめは、今まで聞いたこともない小熊秀雄の詩を朗読することに対して、生徒が抱く不満や戸惑いがややコミカルに描かれます。続く稽古では、熱く厳しい指導に圧倒されながら、作品について理解を深め、やがて自分たちで学びあうようになります。 そして朗読会の当日。「飛ぶ橇」のクライマックスの場面を朗読する生徒たちの演技は、キレの良い動きに一変します。アイヌ民族の権太郎と若い山林官が寝ていた山小屋は雪崩に押しつぶされ、火が迫る中、権太郎は身動きの取れない山林官を救い出し、雪橇に乗せて隣村に飛んで行く…。 そうした緊迫した詩の場面が目に浮かぶ素晴らしい演技でした。終演後、会場は大きな拍手に包まれました。80年以上前に書かれた歴史的な詩が高校生たちの演技でよみがえり、とても感動しました。
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