北海道新聞旭川支社
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北極星

大橋美智子(旭川・農業)*栗むきに夢中 2018/11/19

 いつも通る道端に1本の木がある。近年、道路にイガを落とすようになって、それが栗の木だと知った。時季になると、道を通る人たちが入れ代わり立ち代わり車を止めて栗拾いをしている。

 私は日に何度もそこを通る。楽しそうな人を横目に、その時季は田んぼから乾燥小屋まで、もみを積んだトラックで忙しく往復する。私は栗には興味がなかった。後始末が大変そうだからだ。

 そんな私に昨年、知人が皮をむいて食べるばかりになった栗をくれた。教わったとおりにご飯を炊いてみた。レトルトの栗ご飯とはまったく違うおいしさに驚いた。

 今年ももらえるかな、などとずうずうしく思っていたある日、通りかかった栗の木からイガが落ちる瞬間を見た。

 足元の実が思いのほか立派だったのを見て、私は栗に夢中になった。

 栗は拾うのも面白いが、皮をむくのがまた楽しい。皮むきにこれほど熱中するとは自分でも驚きだった。手間がかかる分、仕上がったときの達成感が大きいということか。この感覚は若い頃に夢中になった編み物の楽しさと似ている。

 おかげで栗ご飯はもう3回も作った。渋皮煮は大鍋にいっぱい。皮むきに夢中になって、指が今も痛いのはここだけの話―。


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