コンピューターの誤作動でシステムダウンし、大規模な停電や物流が滞る恐れがある―。2000年問題が懸念された当時、たとえそんな状態になっても、自分は大丈夫だと楽観していた。農家だから食料は十分なストックがある。水道が止まっても湧き水を利用しているし、暖房はまきストーブもまきもたんまりあるから1カ月くらいは何とかなると考えていた。 けれど9月のブラックアウトで、そんな単純なことでは済まないのだと実感した。地震で家屋が倒壊したり、生活道路が使えなくなったりする直接的被害の大きい地域なら分かるが、「停電だけでこのありさまか」と思った人も多いのではないだろうか。 特に予想外だったのはガソリンだ。士別には自家発電を持つスタンドがないので給油できないという情報を見た時、スマホの充電のため車のエンジンをかけていた私は焦った。燃料の目盛りは半分以下。携行缶のガソリンは草刈り機やチェーンソーの混合燃料で使って半分しかないし、トラックはどうだったろう? 「わが家には発電機があるから」と余裕をかましていた友人も、肝心の発電機の燃料はガソリンだ。停電は長く続かなかったから良かったが、1カ月、いや1週間も続いていたら? たかが停電となめていた自分を反省したい。
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