北海道新聞旭川支社
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北極星

谷紀美子(名寄市・非常勤図書館員)*向日葵の丘で眠ろう 2018/09/09

 今年も名寄のひまわり畑は見事だった。丘に颯爽(さっそう)と咲く様は太陽エネルギーを集めているかのような、はたまた宇宙と交信しているかのようだ。

 去年はひまわり案内所で薦められた智恵文の某ファームに初めて行き、その大規模農業感あふれる風景に圧倒された。

 早速、職場でその話をしているうちに、最近人気の樹木葬にならって「ひまわり葬」ってどうだろう、とのアイデアが出た。名寄市街を見渡す場所に墓地を造成してひまわりを咲かせるのだ。お盆の頃に満開だからちょうどいい。名寄市は住みやすさでは道内の上位に入るのだから、いっそ死んでからも安心、というコンセプトも必要ではないかと勝手なまちづくり論は盛り上がる。

 「向日葵(ひまわり)の丘で眠ろう」「星守る墓」なんてキャッチコピーまで考えた。もはや高齢にさしかかった私は、自分の骨が最終的にどこに入れられるのか、けっこう問題である。ひまわりの丘で土に返るのも悪くない。

 家に帰り、壮大なプランを夫にも得意げに語ったのだが、「いや、ひまわりは一年草だから無理だろう、花が終わったら骨ごと耕されてしまうのが落ちだ」と一蹴された。が、若干あきらめきれない気分も残り、「ひまわり墓金」を納めると、毎年ちゃんと種をまいてくれるサービスにすればよいのだ、と妄想は続く。


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