北海道新聞旭川支社
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北極星

 大橋美智子(旭川・農業)*夢の隠居生活 2018/09/02

 若い頃から思い描いていた夢がある。60歳になったら会社員は定年で退職する。農業者だってその頃には隠居生活に入ってよいのではないか。農作業からは引退して、悠々自適に花畑の手入れなどして過ごす。庭には実のなる木を植えて、畑では孫の好きな果物がたわわに実る。子どもたちとはもちろん別居。たまに来る孫をめちゃめちゃ甘やかす。

 さて気がつけばあっという間に60歳。引退どころか年々、耕作面積は増えるばかり。隠居生活は夢のまた夢。実のなる木を植えるには植えたが、手入れが行き届かず片っ端から枯れた。畑は草にまみれて哀れ、私にとってストレスの元でしかない。

 唯一かなった夢は、たまに来る孫を甘やかしていることくらいか。

 この夏、研修で十勝の紫竹ガーデンに行った。紫竹昭葉さんが土地を買って花や木を植え始めたのが、なんと63歳の時。それから24年、今も紫竹さんはガーデンで、世界中から訪れるお客さまを花のような笑顔でもてなしている。

 ああ、私はまだまだひよっこだ。隠居生活の実現は20年くらい後でよかろう。家族のため、社会のためにも、もっと働かなくてはいけない。

 今年も秋がきた。「人生の秋」も、実り多い季節にしたい。


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