北海道新聞旭川支社
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北極星

 村山修(枝幸・ダイニングバー店主)*経験と備え 2018/07/30

 最高気温が35度を超えた日をさす「猛暑日」が2007年に定義されてから、10年余りが経過した。それより前のことではあるが、枝幸町も35度を記録した日がたった1日だけある。2000年7月31日だ。

 町内の子ども約30人が参加して「チャレンジキャンプ」という取り組みを例年行っていて、その年は「町を縦断しよう第2弾」の準備をしていた。

 まだ「熱中症」より「熱射病・日射病」という言葉が浸透していたころ。木陰の位置や水分補給、緊急時の対応などの確認を念入りにしていた中での、まさかの観測史上最高気温だった。真夏日さえめったに観測されない場所ではあるが、暑さ対策と体力への過信には注意していた。

 実はこの対応は、前年のこのキャンプ中に過去2番目の最高気温を記録し、準備を入念にする大切さを経験していたことも大きい。

 でも、今年の本州各地の酷暑は、今月もストーブをつけていたくらいのここからではなかなか想像できない。「想定外」の豪雨に続く「想定外」の事態の連続。経験したことのない事象への備えはとても難しい。

 今年もキャンプが開催される。挑戦から体験へと趣旨を変えながら20年以上続く取り組みは、ひとつの財産だ。経験も生かしつつ、しっかり備え、地域の自然の変化も感じてきたい。


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