日本尊厳死協会北海道支部旭川上川地区懇話会の発足記念講演会が5月に開かれました。大盛況で、尊厳死に対する関心の高さをうかがわせました。医師や介護施設関係者が役員を務め、現在の超高齢化社会のニーズに沿った活動が期待されています。 講演会の後、82歳の女性から話しかけられました。昨年、10年間意識がなく、寝たきりだった夫を亡くしたという。子供2人は東京と海外。自分も高齢で疲弊しており、この先どのようにして生き、どこで最期を迎えたらいいのか、悩んでいるようだった。 「今日の講演は、いろいろと考えるきっかけになりました」。女性はこう言うと、私の手を強く握りました。今や人生100年といわれる時代。この女性のように老老介護は当たり前になっています。誰もが元気に長生きし、安らかな最期を望んでいますが、皮肉にも高度医療の発達で、助からないと分かっていても死期を引き延ばすことが可能になっています。 私たちは、尊厳死を強要することも、勧誘することもありません。まさにこの女性が話したように「考えるきっかけ」にしてもらいたいのです。自分の人生や命に責任を持って生きるためにも、どうか元気なうちに自分の死について考えてみてください。「尊厳死」は「尊厳生」なのです。
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