わが家の30歳の息子が5月下旬、結婚することになった。生み育てた過去を振り返ると、さまざまな思い出がよみがえる。 生まれた時は、きょうだいの誰よりも頭が大きく、歩き始めた時に「頭が落ちる」と言って、ふざけて後頭部に手を添えたものだ。まだおっぱいを飲んでいるのに「ママ、たか(本名・貴弘)のことは責任持って育ててね」と自己アピールされたことも。 口は達者なのに、身体はぜんそく持ちで、夜中に何度病院に走ったことか。小学生の時には思い余って、街から空気のきれいな田舎に引っ越した。その効果があったのか、途端に元気になり、無遅刻無欠席で高校を卒業した。体力がつきデンマークやタイ、米ニューヨークに留学した時には完治していた。 そんな息子が、就職して道外に渡ると、ほとんど連絡をくれなくなった。「男の子だし、まぁいいか」と思っていても内心は気になるものだ。ある時、「うんとか、すんとかないの?」とメールを打つと、「すん」と返信してきて夫と大笑いした。 今年、その息子が女性を連れて帰省した。詳しい経緯は分からないが、彼女の顔を見てほっと気持ちが和んだ。2人の人生はこれからが本番だ。母としては一応、約束通りに育て上げたつもりである。
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