早春の午後、空知川のほとりへ子ども2人と探検に出た。 私は小さな沼を再訪してみたかった。以前、ヨシの茂る水辺に、たも網を入れると、フナやトゲウオがきらきらと光ったのだ。 柳の林を突き進むこと10分ほど。なんと沼は消えていた。一昨年の台風で流路を変えた本流が、岸をえぐってしまっていた。 魚がすくえると、網を手に長靴でついてきた子らは右往左往して、無言で雪解けの水たまりを網でかき回したりしていた。 なにか責任を感じた私は、そのまま引き返すのをやめ、川岸の斜面を登ってみる提案をした。確か50メートルほど登れば林道に出て、来た方へ戻れるはずだ。 兄は猿のように先を駆け上がり、妹は枯れ木の杖(つえ)を手に入れた後、鹿の踏み跡を賢くたどった。 少し息が切れるころ、林道に出た。 道端にフキノトウの行列が見事に並んでいた。妹は自分は食べないくせに晩ご飯の天ぷらにしてもらうと、魚を入れる予定だったプラスチックのケースがいっぱいになるまで摘んだ。 兄は小さな側溝をほとばしる雪解け水をダムでせき止めては崩壊させ、軍手もオーバーズボンも泥だらけにしていた。 雲の切れ間から差してきた西日は暖かく、帰り道に子らの声が響いていた。
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